心を豊かにするワインの世界

ワインは酔うためではなく、未知の経験を楽しみ、教養を深めるエンターテインメント。

スモークサーモンにぃーよ レビュー|王道ボルドーブランの実力

立ちのぼるのは、青草を刻んだようなハーブの清涼感。スモークサーモン専用を名乗るこの白ワイン、貼られたラベルの下には金賞ボルドーの文字が透けて見える。ソムリエ監修ペアリングワインの実力やいかに。

スモークサーモンにぃーよ with レモン
Bordeaux Blanc 2023

裏ラベルのアップ。上部に「田邉公一ソムリエ監修ペアリング」の黒帯、商品説明と法定表記が続き、下部に「12.5%Vol. 750ml」「Bordeaux Blanc 2023」「Mis En Bouteille Au Chateau」の記載。ラベルの下から元のラベルの文字がうっすら透けて見える。

  • 飲んだ日:2026/7/8
  • シチュエーション:集中力が試された平日に、急遽のご褒美
  • ヴィンテージ:2023
  • 生産者:非公表(瓶詰め元の表記から、ラドー村のデュクール家と推定)
  • 生産地:フランス>ボルドー(ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた白の産地を含む銘醸地)
  • タイプ:白(魅惑のフルーツ系
  • 品種:非公表(ソーヴィニヨン・ブラン主体と推定)
  • 熟成:不明
  • 度数:12.5%
  • インポーター:株式会社都光
  • 購入店:酒日向。(楽天市場)
  • 参考価格:1,980円
  • 購入価格:800円
  • 購入セット:【田邉ソムリエ監修】家飲み革命!ペアリングワイン11本セット

【シチュエーション:集中力が試された平日に、急遽のご褒美】

昼過ぎ、ふと「今日は飲みたい」と思い立った。考えることが多く、仕事にもなかなか集中しきれない平日だった。気分転換にいいものを食べて飲もうと、ペアリングワインセットからスモークサーモン用の1本を冷蔵庫へ。スーパーに急ぎ、普段は買わないスモークサーモンを奮発した。5切れ600円が150円オフの450円。それを2パック。

ペアリングワインの良いところは、こういう「普段食べないものを買う」きっかけをくれることだと思う。などとたいそうな理由をつけて、さて、冷えたところで開けよう。

ちなみにこのボトル、冷やしている間に検めると、貼られたラベルの下から別の文字が透けて見える。正体探しは、栓を抜く前から始まっていた。答え合わせは豆知識で。

ワイン豆知識

正体は金賞ボルドー「シャトー・ドーレ」?(推定)

貼られたラベルの下から、元のラベルの「CHATEAU D'HAURETS」の文字がうっすら透けて見える。裏ラベルの瓶詰め表記は「Vd-Ladaux-33760」。33760はボルドーのラドー村の郵便番号で、ここを本拠とするのがデュクール家(Famille Ducourt)だ。同家のシャトー・ドーレの白はソーヴィニヨン・ブラン主体で、2023ヴィンテージはコンクール・ド・ボルドー金賞を獲得している。販売元は銘柄も品種も公表していないので、あくまで状況証拠からの推定。ただ、飲んで感じた「ソーヴィニヨン・ブランらしさ」とは、きれいに辻褄が合う。

田邉公一ソムリエ監修の「専用ワイン」

SNSでワインとフードのペアリングを発信し続ける田邉公一ソムリエが「スモークサーモン with レモンに合う」と太鼓判を押した1本。公式のコメントでは、柑橘フルーツとハーブの香り、ほのかなスモーキーさがサーモンの冷製オードブルと重なり、ケッパーを添えると相性がさらに高まるという。11本セットには「カルビにぃーよ」「野菜の天ぷらにぃーよ」など、料理名を冠した個性的な仲間が揃う。

ボルドーに白のイメージはないけれど

ボルドーといえば赤だが、ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンを使った辛口白「ボルドー・ブラン」も名産だ。特にガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれたアントル・ドゥー・メール(「2つの海の間」の意)は辛口白の一大産地として知られ、ラドー村もこのエリアに位置する。

テイスティング

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:刻んだハーブ、青々しい植物、草原の青さ、湿った葉、ドロップ飴のような少し甘い清涼感
  • 酸味:4/5
  • 甘味:4/5
  • アルコール感:2/5
  • 余韻:すっきり
  • ボディ:シュッと引き締まった中に、しっかりした膨らみ
  • テクスチャ:キリッとしてキレがあり、ピリピリとした辛口の刺激
  • フレーバー:ハーバル、柑橘、たっぷりの果実味

感想

緑色のワインボトルの正面ラベル。黒いスレート板に盛られたオレンジ色のスモークサーモンとレモン、ディル、黒胡椒のイラストが黒地に描かれ、下部に白文字で「スモークサーモンにぃーよ with レモン」とある。

開けたての印象

注いだ瞬間から、めっぽうハービー。少しベタつく甘さを含んだ、ドロップ飴のような清涼感のある香りだ。青々しい植物、湿った葉っぱのニュアンスもある。ボルドーの白でこの香りなら、頭に浮かぶのはソーヴィニヨン・ブラン。口に含むと、シュッとした酸味とハーバルな清涼感でキリッと引き締まっている。非常に飲みやすい。王道のソーヴィニヨン・ブランという感じがする。

2杯目、果実味に気づく

定価2,000円程度のワインで、大ぶりの万能グラスからこれだけ香りが立つなら上等だ。草原のような青々しさ、生命力を感じる香り。飲み進めると、シュッとしたボディの中にたっぷりとした果実味が含まれていることに気づく。少し粘性のある甘みがしっかりあって、全体はすっきりしているのに膨らみがある。ピリピリとした辛口の刺激もあり、これはポテンシャルが高い。王道のボルドー・ブラン。ザ・王道。安心感がある。

2日目、訂正します

2日目に改めて飲んで、初日の見立てを訂正。すっきりフルーティー系ではなく、魅惑のフルーツ系だ。コクがあって、果実感たっぷり。樽熟成していないタイプの、キレのある王道ボルドー・ブランで、後味はあくまですっきり。

思えばワイン初心者の頃、いちばん最初に飲んだのがワンコイン級のソーヴィニヨン・ブランだった。ハーブ感が浮いた嫌みのある味で、苦手意識を植え付けられた。だが、ボルドー・ブランは大抵おいしい。ボルドーの赤はピンキリで外すこともあるけれど、白は裏切らない——そう思わせてくれる1本だ。

ペアリング

白いテーブルの上に、白ワインが注がれた大ぶりのグラス、ボトル、金色のトレーに並ぶスモークサーモン、茶色い小鉢に盛られたアボカドとトマトのサラダ。

1日目:スモークサーモンと、アボカドとトマトのサラダ

サラダの味付けは醤油・ポン酢・オリーブオイル・ガーリックパウダー。シンプルだがめっぽううまい組み合わせで、ワインの酸味とハーブ感が野菜の甘みに寄り添う。

本命のスモークサーモンは、レモンと胡椒で締めるとうまい。合わせてみると——無難に合う。ワインの清涼感が燻香と喧嘩せず、厚みのある果実味が脂を受け止める。ただ、マリアージュと呼びたくなる化学変化までは起きない。「無難」という言葉がいちばん正確だ。

むしろ発見だったのは、サーモンの下に敷かれた大葉。大葉は世界を救うと思っている。回転寿司でいちばん最初に縁側を頼むのも、大葉があるからだ。アボカドは熟しきっていない硬めの個体で、シャキシャキした食感がこれはこれで一興。

パンは、オーブントースターのないミニマリスト仕様につきフライパンで焼く。喋っていたら焦げ目がつきすぎたが、香ばしさとサーモンの相乗効果を狙うならむしろ好都合。噛むほどに小麦の甘みが染みるパンにサーモンを乗せれば、幸せである。

2日目:バタートーストと、鯖缶と玉ねぎのアヒージョ風

膨らみと甘みのあるワインだと分かったので、2日目は油と旨みの強い肴を選んだ。バタートーストをかじりながら、鯖缶と玉ねぎをオリーブオイルで和えたアヒージョ風を合わせる。

結論:サーモン「専用」ではなく万能選手

飲み終えての結論。このワインは、スモークサーモンが特別に合うというより、全般的に何にでも合う。そら豆や豆のサラダ、トマト、アボカド、フレッシュチーズ、幅広い和食まで、いろいろ受け止めてくれるはずだ。ハーバルで、すっきりしていて、果実感たっぷり。夏の食卓に欠かせない、親しみやすい万能選手である。

評価

  • 総合評価:3
  • CP評価:3.5

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

カンタン・ジャノのピノ・ノワール、グラスで激変するいちごと血の香り

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野暮ったいのに締まる。カリニェナ産樽熟シャルドネの底力

バニラ、ココナッツ、トロピカルフルーツ——濃密な香りをたっぷり纏いながら、最後だけ辛口にキュッと締まってくる。スペイン・カリニェナ産、6ヶ月樽熟成シャルドネの記録。


アナヨン シャルドネ
Grandes Vinos y Viñedos Anayón Chardonnay

アナヨン シャルドネ2024の裏ラベル。鮮やかなオレンジイエローのラベルに「ANAYÓN Chardonnay AÑADA 2024 CARIÑENA DENOMINACIÓN DE ORIGEN」と黒字で記載。アルコール14%・750ml・VEGAN認証マーク入り。輸入者としてフィラディスの社名と横浜の住所が印字されている。

  • 飲んだ日:2026/6/15
  • シチュエーション:充実しすぎた週末の翌日、月曜の夜にワインを解禁した
  • ヴィンテージ:2024
  • 生産者:グランデス・ビノス・イ・ビニェドス(Grandes Vinos y Viñedos S.A.)
  • 生産地:スペイン>カリニェナ(アラゴン州・イベリア山系の麓、標高400〜800m)
  • タイプ:白(ガツンと濃厚系
  • 品種:シャルドネ 100%
  • 度数:14%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,740円
  • 購入価格:1,870円(初回限定50%オフ)
  • 購入セット:初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット アナヨン シャルドネ

【シチュエーション:週末を使い果たして、月曜の夜にワインを解禁する】

週末があまりにも充実していて、ワインを飲む暇がなかった。月曜の夜、ようやく栓を抜く。疲れではなく、いい気分のまま迎えた晩酌だった。


ワイン豆知識

アナヨンはカリニェナの「特別キュヴェ」

グランデス・ビノス・イ・ビニェドスのフラッグシップ、アナヨン。D.O.P.カリニェナの総生産量のうちわずか2%しか取れないシャルドネを100%使い、偉大な年にのみリリースされる特別キュヴェだ。限定生産という事実が、このワインの濃密さの背景にある。

アメリカンオーク・新樽50%がバニラとココナッツの源

このワインが纏う甘い香りの正体は、アメリカンオークのバリックで6ヶ月熟成(新樽比率50%)にある。フレンチオークと比べてアメリカンオークはバニラ・ココナッツのニュアンスが出やすく、このシャルドネの野暮ったいほどの甘さは樽の選択から来ている。

冷たい北風「シエルソ」が凝縮感を生む

カリニェナはスペイン・アラゴン州にあり、海抜400〜800mのやせた土地に畑が広がる。「シエルソ」と呼ばれる乾燥した北風が、ブドウの水分を適度に飛ばして果実の凝縮度を高める。濃いのに酸がある——この構造はこの気候なしには生まれない。


テイスティング|アナヨン シャルドネ 2024

  • 香りの強さ:5/5
  • 香りの要素:バニラ、ココナッツ、トロピカルフルーツ(パイン・パッション)、トマトジュース的な酸、海苔の佃煮のニュアンス
  • 酸味:4/5
  • 甘味:5/5
  • アルコール感:4/5
  • 余韻:ビリビリとした辛口の締め。まったりした後にキュッとくる緊張感
  • ボディ:フルボディ
  • テクスチャ:まったりと濃密。とろみを帯びた重量感
  • フレーバー:バニラ・ココナッツの甘みが主体。温度が上がるにつれてトロピカルフルーツへシフト。コクが非常に厚く、後味だけ引き締まる

感想|野暮ったい白が、グラスで姿を変えた

アナヨン シャルドネのフロントラベル。オレンジイエローのラベルに「ANAYÓN Chardonnay」と記載され、その下に「6 meses en barricas(6ヶ月樽熟成)」と添えられている。

万能グラス vs ブルゴーニュグラス:圧倒的な差

今夜はグラス比較実験もかねて飲んだ。使ったのは2つ——ガブリエルスタンダード(万能型、6,600円)と、木村ガラスのキメラ ツル28OG(ブルゴーニュグラス、3,000円弱)。

万能グラスで香りを嗅ぐと、トマトジュースを思わせる酸味のある香りと海苔の佃煮のような野暮ったさがはっきり出てくる。悪くはないが、どこかチャッチーな印象も拭えない。

ブルゴーニュグラスに替えた途端、スケール感が変わった。同じワインとは思えないほど香りが広がり、バニラ、ココナッツ、クリームのニュアンスが上品にまとまって鼻に届く。口径が大きく液体が横に広がる分、甘みとコクをダイレクトに感じ、まったり感がより豊かに伝わってくる。香りのスコアは万能グラスの4から、ブルゴーニュグラスで5へ上がった。結果は圧勝だ。

価格で言えばガブリエルの方が2倍以上するのに、パフォーマンスはツルに軍配が上がる。万能グラス一択で賄えないかという実験を続けているが、このワインで明確な答えが出た。爆発的な香りを持つ樽熟シャルドネには、大ぶりのブルゴーニュグラスが必須だ。

温度は高めで本領発揮する

このワインは冷やしすぎない方がいい。温度が上がるにつれて甘みがじわじわと出てきて、バニラとトロピカルフルーツの輪郭がくっきりしてくる。一般的な白ワインの提供温度より高め、13℃以上でも十分美味しい。野暮ったいワインだからこそ、まったりした温度帯でその個性を楽しみたい。


ペアリング

白いプレートに盛られたスパイスマリネの鶏胸肉とカリカリごぼうのトッピング。右奥には大ぶりのグラスに淡いゴールドの白ワイン。左端にアナヨンのボトル。

鶏胸肉のスパイスマリネ+カリカリごぼう

鶏胸肉にシナモン・コリアンダー・バジル・オリーブオイル・ローストニンニクをまぶして漬け込み、表面を焼いた後に蒸して、最後にバターを加えた一品。上にカリカリに揚げたごぼうをたっぷりのせた。

食べてみて、これはいい。スパイスのパンチがワインのバニラの甘みと融合して、立体的な奥行きを生んでいる。サイゼリヤの「やみつきスパイス」に似た風味が、アナヨンのまったりとした甘みに当たっても崩れず、むしろ互いを引き立て合う。濃厚で野暮ったいシャルドネでないと成立しない組み合わせだ。スパイスのガツン系料理と、フルボディ白ワインのペアリング——今夜、これが成立することを確認した。


評価

  • 総合評価:3.5
  • CP評価:3

アナヨン シャルドネ

初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット。

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

レッチャイア ロッソ×グラスで化けた——スパイシーな本性

サンジョヴェーゼ主体のトスカーナ赤——グラスを変えた途端に、香りが別次元に跳ね上がった。ブルネッロの産地モンタルチーノが生んだシルキーでスパイシーな一本の、本当の顔がそこにあった。

レッチャイア ロッソ・ディ・トスカーナ
Lecciaia Rosso di Toscana

レッチャイア ロッソ 2019の表ラベルのクローズアップ。濃い赤紫色のラベルに金色の文字で「LECCIAIA ROSSO」と大きく書かれている。中央には金色の装飾枠に囲まれた紋章——青と金の盾形エンブレムを両脇から人物と植物のモチーフが支える彫刻的なデザイン。その下に「TOSCANA / INDICAZIONE GEOGRAFICA TIPICA」「2019」「LA LECCIAIA / MONTALCINO - ITALIA」と続く。白い背景に映えた、格調ある一本の佇まい。

  • 飲んだ日:2026/6/10
  • シチュエーション:仕事を終えた夜、即席のグラス実験つき
  • ヴィンテージ:2019
  • 生産者:ファットリア・ラ・レッチャイア
  • 生産地:イタリア>トスカーナ(ブルネッロで名高いモンタルチーノ)
  • タイプ:赤(重厚&スパイス系
  • 品種:サンジョヴェーゼ 70%、メルロ 20%、カベルネ・ソーヴィニヨン+プティ・ヴェルド 10%
  • 熟成:バリック熟成
  • 度数:14%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,300円
  • 購入価格:521円(クーポン値引き後)
  • 購入セット:初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット

レッチャイア ロッソ・ディ・トスカーナ

【シチュエーション:リファクタリング後の夜、試したいことがあった】

AIを活用したリファクタリング作業を仕上げた夜。黙々とコードに集中できる時間は好きだ。機能を壊さず、内側だけを整えていく——地味で手堅い仕事に妙な満足感がある。終えてようやく、ワインを開ける気持ちになった。

さて、実験もしよう。ピッコロとソプラノが割れてしまったため、新たに買ったGabriel Stand Art(万能グラス、6,600円)の初陣だ。せっかくなら手元の860ccブルゴーニュグラスと飲み比べてみることにした。

モンタルチーノが生んだIGT:レッチャイアとは

ブルネッロの聖地から生まれる一本

ファットリア・ラ・レッチャイアが構えるのは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの発祥地として名高いモンタルチーノのヴァッラフリコ地区。60ヘクタールの農場に15ヘクタールの畑を持ち、うち12ヘクタールがブルネッロの生産登録を受けている。世界的な名声を誇る産地のど真ん中にある造り手だ。

1983年創業、家族経営が続くワイナリー

1983年にマウロ・パチーニが設立。品質と手頃な価格を両立させる哲学のもと、モンタルチーノに根を下ろした。マウロ氏は2020年に他界し、現在は息子のリッカルドと娘のアレッサンドラが後を引き継いでいる。

IGTという自由のなかのブレンド

このロッソ・ディ・トスカーナはトスカーナIGT(Indicazione Geografica Tipica)。ブルネッロやロッソ・ディ・モンタルチーノのDOCG規定に縛られないぶん、サンジョヴェーゼにメルロやカベルネを自由に組み合わせられる。バリック熟成を経て、産地の個性をより身近な形で表現した一本だ。

テイスティング:カシス、タバコ、シナモンの重厚スパイス系

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:カシス、ブラックベリー、タバコ、シナモン、コーヒー(2日目は赤系果実も)
  • 渋み:3/5
  • 酸味:5/5
  • 甘味:3/5
  • アルコール感:5/5
  • 余韻:甘いシナモンとほろ苦いコーヒーが層を作りながらゆっくり消えていく。後口の品がいい
  • ボディ:フルボディ
  • テクスチャ:シルキーなタンニン、とろみのあるまろやかな口当たり
  • フレーバー:黒い果実の甘みを土台に、ほろ苦いコーヒーがふんわり重なる

感想:2日間・2グラスで追ったレッチャイア ロッソの素顔

レッチャイア ロッソ 2019の裏ラベルのクローズアップ。同じ濃い赤紫色のラベルに金色の文字で「LECCIAIA ROSSO TOSCANA / INDICAZIONE GEOGRAFICA TIPICA / 2019」とある。イタリア語で生産者情報(FATTORIA LA LECCIAIA DI PACINI MAURO E C.SS / LOC. VALLAFRICO - MONTALCINO - ITALIA)、日本語でインポーター(株式会社フィラディス・横浜)、内容量750ml、原産国イタリア、アルコール分14%volの表記。右下にフィラディスのQuality Wine認定バッジ。

開けたての印象

香りをとると、明確に黒い。カシス、ブラックベリー、タバコ——どっしりとした黒系果実の層に、シナモンの甘やかなスパイスが重なる。力強いのに、どこか優しい印象を持つ香りだ。

口に含むと、胃がカッとなるアルコールのパンチがある。だが後味がなめらかで、タンニンはシルキー。渋みはしっかりしているのに角がなく、とろみを帯びたテクスチャが口全体に広がる。黒い果実の甘みが底を支え、ほろ苦いコーヒーがふんわりと余韻に溶け込んでいく。甘い、苦い、スパイシー——それぞれが層を作りながらゆっくりと消えていく。後口の品がいい。

グラス実験:万能グラス vs 860ccブルゴーニュグラス

開けて30分ほど経ったところで、比較を始めた。

Gabriel Stand Art(510cc、6,600円)。底面が大きく膨らみ、シュッと絞まる形状。まず万能グラスで香りをとる。黒系と赤系の果実がふんわり——悪くない。

続いて木村グラス ツル28OG(860cc、約3,000円)のブルゴーニュグラス。

香りが違う。明確に違う。

万能グラスを3とするなら、ブルゴーニュグラスは5だ。よりがっしりした黒系果実と、ニッキやシナモンの甘やかさがくっきりと立ち上がってくる。大ぶりとはいえ絞まった形状のブルゴーニュグラスが、香りを集め、増幅している。6,600円の万能グラスが、約3,000円のブルゴーニュグラスに完敗した瞬間だった。

ブルゴーニュグラスは、大ぶりなボウルが液面の表面積を広げ、香り成分の揮発を促す構造だ。絞まったリム(飲み口)がその香りを一点に集め、鼻に届く量が増える。このワインのような多層的なアロマを持つ赤には、はっきりと効いた。

2日目

ブルゴーニュグラスの圧勝は変わらなかった。赤い果実のふんわりした綿飴みたいな香りが加わり、1日目より香りの層が豊かになっている。スワリングすると黒系果実が前に出てよりスパイシーに変化する。

ブルゴーニュグラスは液体が横に広がって舌全体を覆う構造だ。突出した酸の角が和らぎ、甘みを感じやすくなる——そういう仕組みだろうと思った。

ペアリング:和風ボロネーゼとスパイスカレーで試した2日間

白いテーブルの上に、白い丸皿に盛られた和風ボロネーゼ——スパゲッティに赤茶色の肉味噌ソースがたっぷりかかっている。左奥にレッチャイア ロッソのボトル(濃い赤紫色のラベルが正面を向く)、右奥には細い脚のワイングラスに深い赤色のワインが注がれている。手前右にフォーク。白い壁を背景にした、落ち着いた食卓。

1日目:和風ボロネーゼ

ごぼうと味噌を加えた手作りの和風ボロネーゼ。豚ひき肉たっぷりで、食感がしっかり残る仕上がりだ。

相性はいい。肉の旨みとタンニンが絡むことで互いが丸くなり、ワインのシナモンと黒い果実の香りがボロネーゼの深いコクと同調する。和のアレンジを加えたバージョンでも、このトスカーナ赤はよく機能した。

2日目:スパイスドライカレー+ガーリックバタートースト

クミン、シナモン、コリアンダー、チリペッパー、ガラムマサラ、にんにくで作ったスパイスドライカレー。

ワインのスパイシーな余韻とカレーのエキゾチックなスパイスが完全にシンクロした。同じ「スパイス」の言語を持つ者同士の組み合わせだ。ガーリックバタートーストの香ばしさも、余韻の甘いシナモンとよく合っていた。

評価

  • 総合評価:3.6
  • CP評価:3.5

レッチャイア ロッソ・ディ・トスカーナ

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

バスティード ヴィオニエ レビュー:香水のような南ローヌ白の衝撃

バラ、ユリ、そして鼻をかすめる香水のような芳香——南ローヌのヴィオニエがここまで花開くとは、思っていなかった。スパイシーでミネラリー、それでいて繊細。3000円台でこの体験を届ける南ローヌの実力、あなどれない。

バスティード コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ヴィザン ブラン 1,2,3 フィーユ
Bastide Côtes du Rhône Villages Visan Blanc 1,2,3 Filles

バスティードのボトル裏ラベル。上部に「DOMAINE DE LA BASTIDE」「CÔTES DU RHÔNE VILLAGES VISAN」の表記と、AOCの正式名称。ヴィンテージ「2024」が大きく中央に記載。日本語のインポーター表記(フィラディス)、アルコール分14.5%、容量750ml、FR-BIO-01(ビオロジック認証)マーク入り。

  • 飲んだ日:2026/6/6
  • シチュエーション:波長の合う人と過ごした夜
  • ヴィンテージ:2024
  • 生産者:ドメーヌ・ド・ラ・バスティード(ヴァンサン・ボワイエ)
  • 生産地:フランス>ローヌ>コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ヴィザン(南ローヌ、ヴォクリューズ県の内陸部)
  • タイプ:白(個性派スパイシー系
  • 品種:ヴィオニエ95%、ルーサンヌ5%
  • 熟成:ステンレスタンク発酵、オーク板で6ヶ月熟成
  • 度数:14.5%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,300円
  • 購入セット:おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット(初回限定50%オフ)

バスティード コート・デュ・ローヌ ブラン 1,2,3 フィーユ

【シチュエーション:充電された夜に開ける一本】

いい夜だった。人と会って、むしろエネルギーが湧いてくる——そういう珍しい体験をした夜。普段は人と話し続けると消耗して、ひとりの時間で回復するタイプだ。なのに今日の相手は違った。取り繕う必要をまったく感じないまま話し続けて、気づいたら充電されていた。波長が合う、という感覚はこういうことなのだと思う。

セットから次の一本として選んだのがこれだった。嬉しいことがあった夜のワインは、癒しとして開ける夜のそれとは質が違う。気分の増幅剤として飲む、最高の使い方だ。

愛用のソプラノシリーズグラスは割れちゃったので新しいものをポチっていて、まだ配送待ち。

だから、いま手持ちにある大ぶりブルゴーニュグラス(860cc)を代用。860ccグラスは大ぶりだが、香りの試験台としては面白い結果になった。

ワイン豆知識

3人の娘に捧げたキュヴェ名

「1,2,3 フィーユ(Filles)」はフランス語で「3人の娘たち」。ヴァンサン&ステファニー・ボワイエ夫妻の娘たちへのオマージュがそのままワイン名になっている。表ラベルには赤・オレンジ・ピンクの3色で描かれた少女たちのイラストが入っており、家族の温かみがラベルからも伝わる。

テンプル騎士団の地で復活した、ヴィザンの旗手

かつてテンプル騎士団がワインを造っていた由緒ある土地に、1989年ボワイエ家が再興したのがドメーヌ・ド・ラ・バスティードだ。創業者ベルナール・ボワイエは農業技術者の知見を活かし、ビオロジックを志向した自然な栽培と最新技術の両立を実現。現在は息子ヴァンサンが精神を受け継ぎ、ビオロジック認証のもと南ローヌ・ヴィザンの可能性を国際的に発信し続けている。

ヴィオニエらしくないヴィオニエ

ヴィオニエといえば、トロピカルで濃厚・まったりしたコクが持ち味というのが一般的なイメージだ。ところがこのワインは繊細で、白い花のように軽やかで、ピリッとしたミネラル感まで持ち合わせる。ステンレスタンク発酵でフレッシュさを保ちながら、オーク板との6ヶ月熟成で複雑さを加えるアプローチが、この方向性を生み出しているのだろう。同じ品種でここまで異なる顔が生まれるのが、ワインの醍醐味だ。なお、前ヴィンテージの2023年はアシェット・ワインガイド2025で★★(優秀)、ヴィニョロン・アンデパンダン・コンクールで金メダルを獲得している。

テイスティング

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:バラ・ユリなどの白い花、パッションフルーツ・バナナのトロピカルフルーツ、青々したハーブ、香水のような芳香
  • 酸味:4/5
  • 甘味:3/5
  • アルコール感:2/5
  • 余韻:お花の香りが鼻からすっと抜け、膨らむミネラル感が長く続く
  • ボディ:ライト〜ミディアム(繊細)
  • テクスチャ:ピリッとしたスパイシーな刺激
  • フレーバー:白い花、ミネラル、ハーバル、ほのかなバナナ

感想

バスティード コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ヴィザン ブラン 1,2,3 フィーユのボトル正面。深みのある黄緑色のガラス瓶に、白地のシンプルなラベルが貼られている。ラベル中央には赤・オレンジ・ピンクの3色で描かれた小さな少女たちのイラストがあり、その下に「1 2 3 filles」の文字。さらに下に「VINCENT BOYER Vigneron」と記されている。

開けたての印象

860ccの大ぶりブルゴーニュグラスに注いでも、香りがまったく負けていない。グラスに近づけた瞬間、バラやユリの甘い花の香りが迫ってくる。そこにパッションフルーツやバナナのトロピカルなニュアンスが絡み、まるで香水売り場に迷い込んだかのような、強くて繊細な香りだ。

口に含むと、舌の上でビリビリとスパイシーな刺激が広がる。炭酸の泡感とは違う、ワインそのものが持つ固有の刺激感だ。シュール・リー的なピリピリ感、と言いたくなるほどの個性。それでいてキリッとした辛口で、余韻では旨味の塊のようなミネラルがゆっくりと膨らんでくる。お花の香りがふわっと鼻の奥から抜けていき、上品な後味が長く続く。

こんな香りのワインに出会ったのは、初めてだ。

時間経過・変化

2杯目を注ぐと、ハーバルな面が顔を出す。青々した植物の香り、そこに高貴な花の香りが重なる。生命力を感じるフレッシュさがある。冷えているほど酸味がキリッと引き締まり、余韻のミネラル感がいっそう際立つ。

フィラディスが扱うバスティードのワインは赤も白も好みに合っている。アウトレットやセットに同梱されていたら、ダブりを承知でリピートしたいと思えるほどだ。

2日目

グラスに注ぎすぎた。半分ほど入れてしまい、「しまった」と思ったが後の祭り。1日目に比べて香りの総量が落ちている。冷えすぎなのか、注ぎすぎなのか——おそらく両方だ。

それでも味は相変わらずうまい。このワインは味の骨格がしっかりしているので、香りが多少落ちても存在感を失わない。ビリビリ感とミネラルは健在だ。

ペアリング

白い皿に盛られた玉ねぎとソーセージの炒め物。玉ねぎはしんなりしたものと焦げ色のついたものが混在し、ソーセージがピンク色で数本見える。背景左にバスティードのボトル、右には大ぶりのワイングラスに注がれた深い黄金色のワインが映っている。

1日目:ガラムマサラ餃子

ポン酢・黒胡椒・ガラムマサラで食べる冷凍餃子と合わせた。ガラムマサラを加えると餃子が一気に華やかになり、ワインと方向性が近づく。ただ、このワインの繊細さに対して餃子のパンチは主張が強すぎた。ミネラルには旨味を引き立てる効果があり、餃子の肉旨味が底上げされて感じられる場面もあった。ただ、全体のバランスとしてはスパークリングやロゼに分がある。

2日目:玉ねぎとソーセージの炒め物

丸ごと1個分の玉ねぎをソーセージ6本と炒め、胡椒・チリペッパー・醤油で味付けした炒め物。シンプルだが、こちらのほうが断然相性が良かった。

玉ねぎはしんなりしたものもキャラメライズされたものも混在していて、甘みと焦げの香ばしさが両立している。ワインのフルーティーさとミネラル感が、その旨味をすっと引き上げてくれる。1日目の餃子と違い、お互いの主張が干渉せず自然に溶け合う感じがした。

評価

  • 総合評価:3.6
  • CP評価:3.5

バスティード コート・デュ・ローヌ ブラン 1,2,3 フィーユ

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

ポルトガル白でグラス実験:ボルドーvsブルゴーニュ

白い花畑の中にいるような香り、じわっと広がるミネラルの旨み。2,090円のポルトガル・ドウロの白ワインが、グラス1本の選択でさらに化ける。


マテウス & セケイラ ヴィーニョス カダン ドウロ ブランコ
Cadão Douro Branco

ラベル】 代替テキスト:カダン ドウロ ブランコ 2024のボトル背面ラベル。「CADÃO DOURO」のロゴと「DOURO DOC . 2024」の表記が大きく入り、品種としてGOUVEIO, VIOSINHO, RABIGATO E MOSCATEL GALEGO BRANCOが記載されている。下部に「12.5% vol. 750ml」の表示。ボルドー型の細身の瓶で、液色はほぼ無色に近い淡いレモンイエロー。

  • 飲んだ日:2026/6/1〜2
  • シチュエーション:平日、仕事を頑張った夜の晩酌
  • ヴィンテージ:2024
  • 生産者:Mateus & Sequeira Vinhos S.A.
  • 生産地:ポルトガル>ドウロ(世界初の認定ワイン産地・ユネスコ世界遺産の渓谷地帯)
  • タイプ:白(魅惑のフルーツ系
  • 品種:Gouvejo、Viosinho、Rabigato、Moscatel Galego Branco
  • 度数:12.5%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディス
  • 参考価格:2,090円
  • 購入価格:825円
  • 購入セット:春の入口で飲みたい、ぐび飲みワインを8本。

【シチュエーション:愛用グラスが全滅した夜、眠っていた一本を引っ張り出す】

愛用のソプラノグラスが、この頃立て続けに割れてしまい、在庫がゼロになった。仕方なく引っ張り出したのが、特別な日のために取り置きしていた木村ガラスのツル・ブルゴーニュグラス(860cc)。「このポルトガル白に大ぶりのブルゴーニュグラスはオーバースペックでは」——そんな懸念を抱えながらグラスに注いだ。

結果から言うと、大正解だった。

仕事でいくつかの調査タスクをきっちりこなせた日。自分で自分をねぎらうための晩酌に、ちょうど良いポルトガル白が待っていた。


ワイン豆知識

ドウロ——世界最初の認定ワイン産地

ポルトガル・ドウロ渓谷は1756年、世界で初めて原産地呼称が制定されたワイン産地だ。現在はユネスコ世界遺産にも登録されている急峻な渓谷で、段々畑に植えられたブドウは昼夜の寒暖差が大きく、エネルギーが果実に凝縮されやすい。ポートワインで名を馳せた産地が、近年はドライワインの産地としても急速に注目を集めている。

ラビガートは「猫のしっぽ」

ブレンド品種のひとつ、Rabigato(ラビガート)はポルトガル語で「猫のしっぽ」を意味する。ドウロを代表する白ブドウ品種で、夏の極端な暑さにも適応しながら鮮度の高い酸とミネラル感を保ち、オレンジブロッサムのような甘い花の香りを持つ品種として知られる。このワインのシャープな酸と白い花の香りの一端を担っているのは、まずこの品種だろう。

Gouvejo(グヴェイオ)が南国フルーツを引き出す

もうひとつのキーとなる品種がGouvejo。ドウロの暑い気候でも酸を保ちながら、温度が上がることで桃やパイナップルのような南国フルーツの香りが発現する品種として知られる。時間経過とともにこのワインの香りがトロピカルフルーツへ変化していく表情は、Gouvejoの個性がよく出ている。


テイスティング|カダン ドウロ ブランコ 2024

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:白い花(スズランのような)、オレンジピール、氷砂糖、桃、パイン
  • 酸味:4/5
  • 甘味:4/5
  • アルコール感:4/5
  • 余韻:ミネラル+白い花がシュッと消えていく。きれいな後口
  • ボディ:ミディアム〜ミディアムフルボディ
  • テクスチャ:スレンダーで引き締まっているが、緻密でわずかなとろみ感もある
  • フレーバー:柑橘(オレンジ系)→温度上昇で桃・パインの南国フルーツへ変化。ミネラルと旨みが豊富

感想|白い花・ミネラル・グラス実験の記録

開けたての印象

グラスに注いだ瞬間から香りが主張してくる。花畑にいるような、白い花の包み込む香り。スズランに似た穏やかな甘さ、オレンジピールの明るさ、氷砂糖のような甘やかさがひと束になって鼻に届く。めっちゃいい香りだ。

口に含むと、クリーンでしっかりした酸がまず来る。そこに緻密でフレッシュな果実感が重なり、後半はじわっとミネラルと旨みが広がっていく。スレンダーで引き締まっているのに、同時に緻密でわずかなとろみ感もある——この二面性が面白い。2,000円台にしては破格のクオリティだ。

温度上昇とともに変化する香り

時間が経って温度が上がるにつれ、香りの顔がガラッと変わる。注ぎたてのオレンジ系の香りが、桃やパイナップルといった南国フルーツへとシフトしていく。温度が上がっても甘みがだれることなく、酸がしっかり引き締めて崩れない。ストラクチャーがしっかりしているから、まったりしてもまったりしきらない。バランスが整っているとはこういうことだ。

ブルゴーニュとボルドー——グラス実験の結果

1日目の後半、グラスを替えて実験した。ブルゴーニュグラス(860cc)からボルドーグラス(720cc)へ。

ブルゴーニュグラスでは、大きな口径が香りを集約し、液体が一気に横に広がることでコクとボリュームを感じさせてくれた。ポテンシャルを1.5倍に引き上げている感覚で、香りの強さは4/5。

ボルドーグラスに替えると、香りはたちまちぼやける。縦長の形状のため液面との距離が遠くなり、霧の彼方にいるような印象だ。香りの強さは2/5まで落ちる。スワリングするとある程度香り立ってくるものの、ブルゴーニュグラスの香り高さにはとても及ばない。氷砂糖のような甘やかさや、鼻をスッと通るようなニュアンスはほぼ消えてしまった。

味については、口の中でゆっくり転がすように飲めば変わらない。ただ縦長の形状に沿って液体が直線的に流れ込む飲み方だと、酸味だけが強調されて果実の緻密さや甘み、コクがあまり感じられない。数値で言うなら、ブルゴーニュグラスが1.5倍引き出しているとしたら、ボルドーグラスは0.8倍に落とすイメージだ。

もっとも、ボルドーグラスでもワインそのものは全然美味しい。ポテンシャルを引き出しきれていないだけで、不味くなったわけではない。ただ、今回のボルドーグラス(720cc)はそもそも容量が大きすぎ、形状の不一致が顕著だった。愛用のソプラノ(15oz)のようなコンパクトなグラスなら、もっとシュッとまとまった印象になるはずだ。

これだけ香りの複雑さとボリューム感があるから、大ぶりなグラスのポテンシャルに応えられる。本当に安いワインは香りが控えめで大きなグラスだとオーバースペックになってしまうが、このワインはブルゴーニュグラスに十分応えてくれた。


ペアリング

1日目:シーフードオムレツ+冷ややっこ

白いテーブルの上を俯瞰気味に撮影した晩酌の一場面。手前左の白い丸皿に、表面がこんがりと焼き色のついた厚みのある丸いオムレツが盛られている。ピーマンとシーフードの具材が所々のぞいている。手前右の茶色い碗には切り分けた絹ごし豆腐が入っており、表面にタレが薄く広がっている。奥にはCADÃO DOUROのラベルが正面を向いたボトルと、薄いレモンイエローのワインを注いだ大ぶりのブルゴーニュグラスが並んでいる。

シーフード・ピーマン・人参・白だし入りのオムレツ。噛むたびに染み出す白だしの旨みと、ワインのミネラルが相乗効果を起こす。増幅した旨みとミネラルが立体的に重なって、うまい。最良のペアリングだ。

冷ややっこ(オリーブオイル・ポン酢・塩・ガーリックパウダー)も相性が良かった。ガーリックのパンチがワインのミネラリーなキレと合わさって、止まらない無限ループに突入する。

2日目:鶏もも肉のムニエル

白いテーブルの上を俯瞰気味に撮影した2日目の晩酌の一場面。手前の白い丸皿に、バター・醤油・みりんで仕上げた鶏もも肉が複数の切り身に分かれて盛られており、照りのある濃い茶色のソースが絡んでいる。玉ねぎ・ピーマンが添えられ、香ばしそうな仕上がりに見える。奥には1日目と同じCADÃO DOUROのボトルと大ぶりのブルゴーニュグラスが並んでいる。右下にフォークが写っている。

バター・醤油・みりん・オリーブオイルで仕上げた鶏もも肉のムニエル。合わないわけではなく、こんがり香ばしい鶏皮とバターの旨みがワインのミネラルとなんとなく絡み合う。ただ「このワインのベストパートナーかというと……」というのが正直なところ。ミネラリーなドウロ白は、白身魚のムニエルと組んだときこそ真価を発揮するはず。次はそこで試したい。


評価

  • 総合評価:3.8
  • CP評価:4

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

デュテルトル クレマン・ド・ロワール レビュー:ジンジャーと24ヶ月熟成の泡が当たりだった

グラスに注いだ瞬間から、トースト香が立ち上った。フレッシュなリンゴ、蜜りんご——これは当たりだ。そこへジンジャーが後から差し込んでくるとは、思ってもみなかった。24ヶ月の瓶内熟成がなせる業だろうか。

ドメーヌ・デュテルトル クレマン・ド・ロワール キュヴェ・サン・ジル ブラック・ラベル N.V.
Domaine Dutertre Crémant de Loire Cuvée St. Gilles Black Label N.V.

黒いラベルが特徴的なボトル裏面。「DOMAINE DUTERTRE / CRÉMANT DE LOIRE / Cuvée St. Gilles」の文字が白で印字され、輸入者フィラディスの記載がある。瓶は深緑色で、ボトル口に向かって細くなるシャンパーニュ型のシルエット。

  • 飲んだ日:2026/5/30
  • シチュエーション:土曜日の昼飲み
  • ヴィンテージ:NV
  • 生産者:ドメーヌ・デュテルトル(Domaine Dutertre)
  • 生産地:フランス>ロワール(トゥーレーヌ・アンボワーズ、ロワール川右岸)
  • タイプ:泡(芳醇なエレガント系
  • 品種:シュナン・ブラン 30%、シャルドネ 30%、ピノ・ノワール 30%、カベルネ・フラン 10%
  • 熟成:ステンレスタンクで発酵、瓶内熟成24ヶ月以上
  • 度数:12.5%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,300円
  • 購入価格:521円
  • 購入セット:初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット。

ドメーヌ・デュテルトル クレマン・ド・ロワール キュヴェ・サン・ジル ブラック・ラベルN.V.


【シチュエーション:土曜の昼飲み、フレンチトーストと泡】

土曜日の昼。予定のない週末の特権、昼飲みだ。一晩卵液に漬け込んだフレンチトーストを焼きながら、クレマン・ド・ロワールを開けた。

フレンチトーストはバターとシナモン。もう一品、クミンとガーリックとローズマリーで下味をつけた鶏肉も焼いてある。ゆっくり飲むための準備は整った。

1週間お疲れ様。昼から飲む幸せとは、こういう静かな時間のことを言うのだと思う。


ワイン豆知識

クレマン・ド・ロワールに黒ブドウ40%という選択

クレマン・ド・ロワールはシュナン・ブランを主体に造られることが多い。このキュヴェ・サン・ジルはピノ・ノワール30%、カベルネ・フラン10%と黒ブドウを4割使う珍しい構成だ。赤品種をこれだけ高い比率でブレンドするクレマン・ド・ロワールは少なく、白品種だけでは出せない骨格と果実の凝縮感が生まれる。

瓶内熟成24ヶ月以上——シャンパーニュ基準超え

クレマン・ド・ロワールの規定では瓶内熟成9ヶ月以上が義務付けられている。このワインは24ヶ月以上。シャンパーニュのNV基準(15ヶ月以上)をも上回る。この長期熟成がイースト香の豊かさと、泡の緻密なクリーミーさを生んでいる。

ドメーヌ・デュテルトルと「サン・ジル」の名前

ロワール右岸リムレ村(トゥーレーヌ・アンボワーズ)に19世紀後半に設立された5代続く老舗。5代目のジル(Gilles)・デュテルトルが1989年から参画し、リュット・レゾネ(減農薬)農法でブドウを育てる。37haの畑はロワールを南向きに望む斜面に広がる。キュヴェ名「サン・ジル(Saint-Gilles)」はこの5代目の名「ジル」に由来している。


テイスティング

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:フレッシュなリンゴ、蜜りんご、トーストしたパン、イースト、ジンジャー、カリン
  • 酸味:4/5
  • 甘味:5/5
  • アルコール感:2/5
  • ガス圧:
  • 泡立ち:クリーミー、きめ細かく豊か
  • 余韻:長い(りんごジャム→イーストの香ばしさ→ドライな着地)
  • ボディ:
  • フレーバー:りんごジャム、イースト、ジンジャーのピリピリ感

感想:トースト香が約束した、ジンジャーで締まる泡

グラスに注いだ瞬間から、トースト香が立ち上る。シャンパーニュで馴染み深い、焼きたてパンのようなイースト感だ。続いてフレッシュなリンゴ、蜜りんご。カリンのようなニュアンスも微かにある。ずっと嗅いでいたくなる。トースト香が出るスパークリングは間違いなくいい。

口に含んだ瞬間

クリーンな酸が伸びやかに広がる。泡はきめ細かくクリーミーで、シャンパーニュを飲むときの「咀嚼して飲む」感覚に近い。テクスチャーに噛みごたえがある。赤い果実の凝縮感。フレッシュな葡萄ジュースのような素直な果実味に、りんごジャムのジャミーさが続く。甘みは強い。

そして後から気づくジンジャーのピリピリ感。これが効いている。蜜りんごとイーストが主役のところへ、ジンジャーが脇から差し込んで全体を引き締める。甘みだけで終わらない複雑さがある。

余韻

「幻のように消える」と思っていたが、実際は違った。りんごジャムの甘い後引きが続き、その奥にほのかなイーストの香ばしさが残る。ジャミーな果実が後を追いかけてきて、ゆっくり着地する。蜜りんご→イースト→ジンジャー、この3つがバランスをとりながら消えていく余韻は、思ったよりずっと長い。


ペアリング:フレンチトーストとバタートーストが正解だった

木目のテーブルに、黒ラベルのクレマン・ド・ロワールのボトルを背景に、フルートグラスに注がれた淡い黄金色のワインが立つ。手前の白い丸皿にはこんがりとした焼き色のフレンチトースト2切れ。右には鶏肉と野菜のスパイス焼きを盛った小鉢、転がったコルク。

◎ フレンチトースト(バター・シナモン)

この日のメインペアリング。一晩浸けたフレンチトーストの卵の甘みとバターの香ばしさが、クレマンの蜜りんごとイースト香と共鳴した。どちらにも「香ばしさ」という共通軸があり、相互に引き立て合う。甘みがあるのに後口はすっきり。完全に成立していた。

◎ バタートースト

フレンチトーストの後に焼いたバタートーストと合わせたら、止まらなくなった。バターの脂肪分をワインのクリーンな酸と炭酸がすっきりと洗い流す。さらにトーストの香ばしさとワインのイースト・トースト香が共鳴し、一口ごとにワインの果実感が増して見えるという相乗効果が起きている。ワインがまたトーストを食べたくさせる。

○ 鶏肉のスパイスマリネ焼き(クミン・ガーリック・ローズマリー)

スパイスの強さにも負けなかった。クミンの香ばしさがワインのジンジャー感とシンクロし、余韻が増幅される感覚がある。マリアージュとまではいかないが、スパークリングワインの地力を見た。


評価

  • 総合評価:3.5
  • CP評価:3

ドメーヌ・デュテルトル クレマン・ド・ロワール キュヴェ・サン・ジル ブラック・ラベルN.V.

初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット。

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。