心を豊かにするワインの世界

ワインは酔うためではなく、未知の経験を楽しみ、教養を深めるエンターテインメント。

南アフリカ・アルダリン カベルネ、宮崎牛で検証した骨太力

カシスとブルーベリーの奥から、漢方薬のような甘いスパイス香がすっと立ち上る。南アフリカ・ステレンボッシュ産の赤ワイン。がっしりした骨太感のワインで、非常に力強くグラデーションを楽しめる1本だった。

アルダリン カベルネ・ソーヴィニヨン メルロー
Aaldering Estate Cabernet Sauvignon / Merlot

裏ラベル。フレンチオーク樽100%で20ヶ月熟成したこと、ステレンボッシュ産・アルコール度数14.5%であることが記載されている。

  • 飲んだ日:2026/7/21
  • シチュエーション:考えごとで頭がいっぱいになった夜に
  • ヴィンテージ:2020
  • 生産者:アルダリン(Aaldering)
  • 生産地:南アフリカ>ステレンボッシュ(山と海の両方に近く、寒暖差の大きい産地)
  • タイプ:赤(がっしり骨太系)
  • 品種:ブレンド(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー)
  • 熟成:フレンチオーク樽100%、20ヶ月
  • 度数:14.5%
  • インポーター:都光
  • 購入店:銘醸ワイン専門のCAVE de L NAOTAKA!
  • 参考価格:7,700円
  • 購入価格:2,100円
  • 購入セット:アルダリン6本+2本セット

【シチュエーション:考えごとで頭がいっぱいになった夜に】

考えごとで頭がいっぱいになっていた夜、上質なワインで気持ちを切り替えることにした。開けたのは、2年ほど前にセット買いして、ずっとセラーで眠らせていた一本。

ちょうどいただきものの宮崎牛があったので、これはいいワインを開ける理由になる、と迷わずコルクを抜いた。

ワイン豆知識

環境に配慮したワイナリー

アルダリンは2004年、オランダ人夫妻マリアンヌ&フォンス・アルダリンが立ち上げた家族経営のワイナリー。南アフリカの環境配慮型ぶどう栽培認証「IPW(Integrated Production of Wine)」と、国際的な環境認証「Certified Enviro Wines」の両方を取得しており、環境への配慮を掲げたワインづくりをしている。

ステレンボッシュという産地

生産地のステレンボッシュは、南アフリカを代表するワイン産地のひとつ。山と海の両方に近く、昼夜の寒暖差が大きいため、ぶどうがゆっくりと熟していく。花崗岩・粘土・砂など土壌が多様で、区画ごとに個性が出やすい土地でもある。

国際コンクールでの金メダル

このワインは2022年、ミケランジェロ国際ワイン&スピリッツ・アワードでゴールドメダルを受賞している。同アワードは1997年創設、アフリカ最大規模のワイン・スピリッツコンクールで、5大陸から選ばれた審査員が評価する国際色の強い賞だ。ラベルにもそのメダルが誇らしく掲げられている一本だ。

テイスティング

  • 香りの強さ:5/5
  • 香りの要素:完熟カシス、ブルーベリー、アニス系の甘いスパイス(漢方薬のような)、樽由来のスモーク・ウッディ、ブラックペッパー
  • 渋み:4/5
  • 酸味:3/5
  • 甘味:5/5
  • 苦み:2/5
  • アルコール感:4/5
  • 余韻:長い。スモーキーな樽香、シナモンのような甘さ、ブラックペッパーのスパイス感が続く
  • ボディ:フルボディ
  • テクスチャ:ビロードのようになめらかで、こなれたタンニン
  • フレーバー:完熟したカシスリキュールのような甘さ、後味の酸味でキレよく締まる、モカ・カカオを思わせる苦み

感想

南アフリカワイン「アルダリン カベルネ・ソーヴィニヨン メルロー 2020」のボトル正面。黒地に金の木のロゴと「Aaldering」の文字、右上に2022年ミケランジェロ国際ワイン&スピリッツ・アワードの金メダルシールが貼られている。

開けたての印象

大ぶりの木村硝子店 ツル 24oz(ボルドー型)に注いだ瞬間から、ウッディな香りと強いタンニンの気配が押し寄せてくる。ガラガラとした質感の奥に、黒胡椒のスパイシーな香りも顔を出す。ステアリングするほどに深みが増し、炭と木のニュアンスが強まって、少し野性的な表情ものぞかせる。

口に含むと、まず力強さに驚く。タンニンは豊富だが、ザラつきはなく、むしろサラサラとしっとりしている。ビロードのようにこなれたタンニンとはこういうことか、と納得する質感だ。完熟したカシスリキュールのような甘みがあり、後味にかけては酸味がすっと効いて、甘さを引き締めていく。余韻は長く、樽由来のスモーキーさ、シナモンのような甘い香り、黒胡椒のスパイス感が続く。モカやカカオを思わせるほろ苦さも顔を出し、全体のバランスがいい。

時間の経過とともに

2杯目、空気に触れたことでさらに香りが開いた。最初は控えめだったのが、スワリングした途端にバニラや漢方薬のような甘いスパイス、ウッディな香りが一気に広がる。ドライハーブを思わせる植物的なニュアンスも顔を出し、香りだけで何杯も飲めそうなほどの奥行きが出てきた。

3日目(実質2日目)

出かけていて2日目は飲めず、実質3日目のテイスティングとなった。それでも劣化した印象はなく、輪郭がひとまわり鋭くなったという感じ。酸味が前に出てきてキリッと締まり、アルコールの熱がじわりと喉の奥に残るようになった。まろやかさより骨格の強さが前面に出てきた、パワー型への変化。それでも甘みの芯はしっかり残っていて、1日目のなめらかな完成度には及ばないものの、十分においしい。

ペアリング

白いテーブルの上に、赤ワインの入ったグラスとアルダリンのボトル、宮崎牛と白飯を合わせた一皿を並べた食卓の写真。肉はすでに食べ進めたあとで、皿には玉ねぎとご飯が中心に残っている。

宮崎牛と白飯

いただきものの宮崎牛の、上質な脂身に合わせた。肉の脂がタンニンと絡むことで互いが丸くなり、ワインがすいすい進む。完熟したカシスリキュールのような果実味と、脂の甘みが響き合う組み合わせだった。白飯との相性もよく、力強いワインには、それに見合う脂の乗った料理が必要だと実感する一皿。

3日目:トンカツ、ナスとベーコンのオムレツ

トンカツの豚ロースにも脂身はあるが、宮崎牛の脂とは密度が違う。とろけるように溶けて舌に絡みつくような牛の脂に対して、豚ロースの脂はさっぱりと軽く、タンニンを受け止めきる前に先に食べ切ってしまう感覚。ナスとベーコンのオムレツ(卵にシナモンと砂糖を効かせた甘め仕立て)も、優しい甘さがワインの凝縮した果実味の前では霞んでしまい、分が悪い。日常の食卓に合わせるには、それなりに脂身の強い料理やステーキ級の火力が必要になる、というのが今回の発見。フレンチの牛肉料理などとは間違いなく好相性だろう。

評価

  • 総合評価:4
  • CP評価:2

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

スモークサーモンにぃーよ レビュー|王道ボルドーブランの実力

立ちのぼるのは、青草を刻んだようなハーブの清涼感。スモークサーモン専用を名乗るこの白ワイン、貼られたラベルの下には金賞ボルドーの文字が透けて見える。ソムリエ監修ペアリングワインの実力やいかに。

スモークサーモンにぃーよ with レモン
Bordeaux Blanc 2023

裏ラベルのアップ。上部に「田邉公一ソムリエ監修ペアリング」の黒帯、商品説明と法定表記が続き、下部に「12.5%Vol. 750ml」「Bordeaux Blanc 2023」「Mis En Bouteille Au Chateau」の記載。ラベルの下から元のラベルの文字がうっすら透けて見える。

  • 飲んだ日:2026/7/8
  • シチュエーション:集中力が試された平日に、急遽のご褒美
  • ヴィンテージ:2023
  • 生産者:非公表(瓶詰め元の表記から、ラドー村のデュクール家と推定)
  • 生産地:フランス>ボルドー(ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた白の産地を含む銘醸地)
  • タイプ:白(魅惑のフルーツ系)
  • 品種:非公表(ソーヴィニヨン・ブラン主体と推定)
  • 熟成:不明
  • 度数:12.5%
  • インポーター:株式会社都光
  • 購入店:酒日向。(楽天市場)
  • 参考価格:1,980円
  • 購入価格:800円
  • 購入セット:【田邉ソムリエ監修】家飲み革命!ペアリングワイン11本セット

【シチュエーション:集中力が試された平日に、急遽のご褒美】

昼過ぎ、ふと「今日は飲みたい」と思い立った。考えることが多く、仕事にもなかなか集中しきれない平日だった。気分転換にいいものを食べて飲もうと、ペアリングワインセットからスモークサーモン用の1本を冷蔵庫へ。スーパーに急ぎ、普段は買わないスモークサーモンを奮発した。5切れ600円が150円オフの450円。それを2パック。

ペアリングワインの良いところは、こういう「普段食べないものを買う」きっかけをくれることだと思う。などとたいそうな理由をつけて、さて、冷えたところで開けよう。

ちなみにこのボトル、冷やしている間に検めると、貼られたラベルの下から別の文字が透けて見える。正体探しは、栓を抜く前から始まっていた。答え合わせは豆知識で。

ワイン豆知識

正体は金賞ボルドー「シャトー・ドーレ」?(推定)

貼られたラベルの下から、元のラベルの「CHATEAU D'HAURETS」の文字がうっすら透けて見える。裏ラベルの瓶詰め表記は「Vd-Ladaux-33760」。33760はボルドーのラドー村の郵便番号で、ここを本拠とするのがデュクール家(Famille Ducourt)だ。同家のシャトー・ドーレの白はソーヴィニヨン・ブラン主体で、2023ヴィンテージはコンクール・ド・ボルドー金賞を獲得している。販売元は銘柄も品種も公表していないので、あくまで状況証拠からの推定。ただ、飲んで感じた「ソーヴィニヨン・ブランらしさ」とは、きれいに辻褄が合う。

田邉公一ソムリエ監修の「専用ワイン」

SNSでワインとフードのペアリングを発信し続ける田邉公一ソムリエが「スモークサーモン with レモンに合う」と太鼓判を押した1本。公式のコメントでは、柑橘フルーツとハーブの香り、ほのかなスモーキーさがサーモンの冷製オードブルと重なり、ケッパーを添えると相性がさらに高まるという。11本セットには「カルビにぃーよ」「野菜の天ぷらにぃーよ」など、料理名を冠した個性的な仲間が揃う。

ボルドーに白のイメージはないけれど

ボルドーといえば赤だが、ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンを使った辛口白「ボルドー・ブラン」も名産だ。特にガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれたアントル・ドゥー・メール(「2つの海の間」の意)は辛口白の一大産地として知られ、ラドー村もこのエリアに位置する。

テイスティング

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:刻んだハーブ、青々しい植物、草原の青さ、湿った葉、ドロップ飴のような少し甘い清涼感
  • 酸味:4/5
  • 甘味:4/5
  • アルコール感:2/5
  • 余韻:すっきり
  • ボディ:シュッと引き締まった中に、しっかりした膨らみ
  • テクスチャ:キリッとしてキレがあり、ピリピリとした辛口の刺激
  • フレーバー:ハーバル、柑橘、たっぷりの果実味

感想

緑色のワインボトルの正面ラベル。黒いスレート板に盛られたオレンジ色のスモークサーモンとレモン、ディル、黒胡椒のイラストが黒地に描かれ、下部に白文字で「スモークサーモンにぃーよ with レモン」とある。

開けたての印象

注いだ瞬間から、めっぽうハービー。少しベタつく甘さを含んだ、ドロップ飴のような清涼感のある香りだ。青々しい植物、湿った葉っぱのニュアンスもある。ボルドーの白でこの香りなら、頭に浮かぶのはソーヴィニヨン・ブラン。口に含むと、シュッとした酸味とハーバルな清涼感でキリッと引き締まっている。非常に飲みやすい。王道のソーヴィニヨン・ブランという感じがする。

2杯目、果実味に気づく

定価2,000円程度のワインで、大ぶりの万能グラスからこれだけ香りが立つなら上等だ。草原のような青々しさ、生命力を感じる香り。飲み進めると、シュッとしたボディの中にたっぷりとした果実味が含まれていることに気づく。少し粘性のある甘みがしっかりあって、全体はすっきりしているのに膨らみがある。ピリピリとした辛口の刺激もあり、これはポテンシャルが高い。王道のボルドー・ブラン。ザ・王道。安心感がある。

2日目、訂正します

2日目に改めて飲んで、初日の見立てを訂正。すっきりフルーティー系ではなく、魅惑のフルーツ系だ。コクがあって、果実感たっぷり。樽熟成していないタイプの、キレのある王道ボルドー・ブランで、後味はあくまですっきり。

思えばワイン初心者の頃、いちばん最初に飲んだのがワンコイン級のソーヴィニヨン・ブランだった。ハーブ感が浮いた嫌みのある味で、苦手意識を植え付けられた。だが、ボルドー・ブランは大抵おいしい。ボルドーの赤はピンキリで外すこともあるけれど、白は裏切らない——そう思わせてくれる1本だ。

ペアリング

白いテーブルの上に、白ワインが注がれた大ぶりのグラス、ボトル、金色のトレーに並ぶスモークサーモン、茶色い小鉢に盛られたアボカドとトマトのサラダ。

1日目:スモークサーモンと、アボカドとトマトのサラダ

サラダの味付けは醤油・ポン酢・オリーブオイル・ガーリックパウダー。シンプルだがめっぽううまい組み合わせで、ワインの酸味とハーブ感が野菜の甘みに寄り添う。

本命のスモークサーモンは、レモンと胡椒で締めるとうまい。合わせてみると——無難に合う。ワインの清涼感が燻香と喧嘩せず、厚みのある果実味が脂を受け止める。ただ、マリアージュと呼びたくなる化学変化までは起きない。「無難」という言葉がいちばん正確だ。

むしろ発見だったのは、サーモンの下に敷かれた大葉。大葉は世界を救うと思っている。回転寿司でいちばん最初に縁側を頼むのも、大葉があるからだ。アボカドは熟しきっていない硬めの個体で、シャキシャキした食感がこれはこれで一興。

パンは、オーブントースターのないミニマリスト仕様につきフライパンで焼く。喋っていたら焦げ目がつきすぎたが、香ばしさとサーモンの相乗効果を狙うならむしろ好都合。噛むほどに小麦の甘みが染みるパンにサーモンを乗せれば、幸せである。

2日目:バタートーストと、鯖缶と玉ねぎのアヒージョ風

膨らみと甘みのあるワインだと分かったので、2日目は油と旨みの強い肴を選んだ。バタートーストをかじりながら、鯖缶と玉ねぎをオリーブオイルで和えたアヒージョ風を合わせる。

結論:サーモン「専用」ではなく万能選手

飲み終えての結論。このワインは、スモークサーモンが特別に合うというより、全般的に何にでも合う。そら豆や豆のサラダ、トマト、アボカド、フレッシュチーズ、幅広い和食まで、いろいろ受け止めてくれるはずだ。ハーバルで、すっきりしていて、果実感たっぷり。夏の食卓に欠かせない、親しみやすい万能選手である。

評価

  • 総合評価:3
  • CP評価:3.5

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

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野暮ったいのに締まる。カリニェナ産樽熟シャルドネの底力

バニラ、ココナッツ、トロピカルフルーツ——濃密な香りをたっぷり纏いながら、最後だけ辛口にキュッと締まってくる。スペイン・カリニェナ産、6ヶ月樽熟成シャルドネの記録。


アナヨン シャルドネ
Grandes Vinos y Viñedos Anayón Chardonnay

アナヨン シャルドネ2024の裏ラベル。鮮やかなオレンジイエローのラベルに「ANAYÓN Chardonnay AÑADA 2024 CARIÑENA DENOMINACIÓN DE ORIGEN」と黒字で記載。アルコール14%・750ml・VEGAN認証マーク入り。輸入者としてフィラディスの社名と横浜の住所が印字されている。

  • 飲んだ日:2026/6/15
  • シチュエーション:充実しすぎた週末の翌日、月曜の夜にワインを解禁した
  • ヴィンテージ:2024
  • 生産者:グランデス・ビノス・イ・ビニェドス(Grandes Vinos y Viñedos S.A.)
  • 生産地:スペイン>カリニェナ(アラゴン州・イベリア山系の麓、標高400〜800m)
  • タイプ:白(ガツンと濃厚系)
  • 品種:シャルドネ 100%
  • 度数:14%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,740円
  • 購入価格:1,870円(初回限定50%オフ)
  • 購入セット:初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット アナヨン シャルドネ

【シチュエーション:週末を使い果たして、月曜の夜にワインを解禁する】

週末があまりにも充実していて、ワインを飲む暇がなかった。月曜の夜、ようやく栓を抜く。疲れではなく、いい気分のまま迎えた晩酌だった。


ワイン豆知識

アナヨンはカリニェナの「特別キュヴェ」

グランデス・ビノス・イ・ビニェドスのフラッグシップ、アナヨン。D.O.P.カリニェナの総生産量のうちわずか2%しか取れないシャルドネを100%使い、偉大な年にのみリリースされる特別キュヴェだ。限定生産という事実が、このワインの濃密さの背景にある。

アメリカンオーク・新樽50%がバニラとココナッツの源

このワインが纏う甘い香りの正体は、アメリカンオークのバリックで6ヶ月熟成(新樽比率50%)にある。フレンチオークと比べてアメリカンオークはバニラ・ココナッツのニュアンスが出やすく、このシャルドネの野暮ったいほどの甘さは樽の選択から来ている。

冷たい北風「シエルソ」が凝縮感を生む

カリニェナはスペイン・アラゴン州にあり、海抜400〜800mのやせた土地に畑が広がる。「シエルソ」と呼ばれる乾燥した北風が、ブドウの水分を適度に飛ばして果実の凝縮度を高める。濃いのに酸がある——この構造はこの気候なしには生まれない。


テイスティング|アナヨン シャルドネ 2024

  • 香りの強さ:5/5
  • 香りの要素:バニラ、ココナッツ、トロピカルフルーツ(パイン・パッション)、トマトジュース的な酸、海苔の佃煮のニュアンス
  • 酸味:4/5
  • 甘味:5/5
  • アルコール感:4/5
  • 余韻:ビリビリとした辛口の締め。まったりした後にキュッとくる緊張感
  • ボディ:フルボディ
  • テクスチャ:まったりと濃密。とろみを帯びた重量感
  • フレーバー:バニラ・ココナッツの甘みが主体。温度が上がるにつれてトロピカルフルーツへシフト。コクが非常に厚く、後味だけ引き締まる

感想|野暮ったい白が、グラスで姿を変えた

アナヨン シャルドネのフロントラベル。オレンジイエローのラベルに「ANAYÓN Chardonnay」と記載され、その下に「6 meses en barricas(6ヶ月樽熟成)」と添えられている。

万能グラス vs ブルゴーニュグラス:圧倒的な差

今夜はグラス比較実験もかねて飲んだ。使ったのは2つ——ガブリエルスタンダード(万能型、6,600円)と、木村ガラスのキメラ ツル28OG(ブルゴーニュグラス、3,000円弱)。

万能グラスで香りを嗅ぐと、トマトジュースを思わせる酸味のある香りと海苔の佃煮のような野暮ったさがはっきり出てくる。悪くはないが、どこかチャッチーな印象も拭えない。

ブルゴーニュグラスに替えた途端、スケール感が変わった。同じワインとは思えないほど香りが広がり、バニラ、ココナッツ、クリームのニュアンスが上品にまとまって鼻に届く。口径が大きく液体が横に広がる分、甘みとコクをダイレクトに感じ、まったり感がより豊かに伝わってくる。香りのスコアは万能グラスの4から、ブルゴーニュグラスで5へ上がった。結果は圧勝だ。

価格で言えばガブリエルの方が2倍以上するのに、パフォーマンスはツルに軍配が上がる。万能グラス一択で賄えないかという実験を続けているが、このワインで明確な答えが出た。爆発的な香りを持つ樽熟シャルドネには、大ぶりのブルゴーニュグラスが必須だ。

温度は高めで本領発揮する

このワインは冷やしすぎない方がいい。温度が上がるにつれて甘みがじわじわと出てきて、バニラとトロピカルフルーツの輪郭がくっきりしてくる。一般的な白ワインの提供温度より高め、13℃以上でも十分美味しい。野暮ったいワインだからこそ、まったりした温度帯でその個性を楽しみたい。


ペアリング

白いプレートに盛られたスパイスマリネの鶏胸肉とカリカリごぼうのトッピング。右奥には大ぶりのグラスに淡いゴールドの白ワイン。左端にアナヨンのボトル。

鶏胸肉のスパイスマリネ+カリカリごぼう

鶏胸肉にシナモン・コリアンダー・バジル・オリーブオイル・ローストニンニクをまぶして漬け込み、表面を焼いた後に蒸して、最後にバターを加えた一品。上にカリカリに揚げたごぼうをたっぷりのせた。

食べてみて、これはいい。スパイスのパンチがワインのバニラの甘みと融合して、立体的な奥行きを生んでいる。サイゼリヤの「やみつきスパイス」に似た風味が、アナヨンのまったりとした甘みに当たっても崩れず、むしろ互いを引き立て合う。濃厚で野暮ったいシャルドネでないと成立しない組み合わせだ。スパイスのガツン系料理と、フルボディ白ワインのペアリング——今夜、これが成立することを確認した。


評価

  • 総合評価:3.5
  • CP評価:3

アナヨン シャルドネ

初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット。

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

レッチャイア ロッソ×グラスで化けた——スパイシーな本性

サンジョヴェーゼ主体のトスカーナ赤——グラスを変えた途端に、香りが別次元に跳ね上がった。ブルネッロの産地モンタルチーノが生んだシルキーでスパイシーな一本の、本当の顔がそこにあった。

レッチャイア ロッソ・ディ・トスカーナ
Lecciaia Rosso di Toscana

レッチャイア ロッソ 2019の表ラベルのクローズアップ。濃い赤紫色のラベルに金色の文字で「LECCIAIA ROSSO」と大きく書かれている。中央には金色の装飾枠に囲まれた紋章——青と金の盾形エンブレムを両脇から人物と植物のモチーフが支える彫刻的なデザイン。その下に「TOSCANA / INDICAZIONE GEOGRAFICA TIPICA」「2019」「LA LECCIAIA / MONTALCINO - ITALIA」と続く。白い背景に映えた、格調ある一本の佇まい。

  • 飲んだ日:2026/6/10
  • シチュエーション:仕事を終えた夜、即席のグラス実験つき
  • ヴィンテージ:2019
  • 生産者:ファットリア・ラ・レッチャイア
  • 生産地:イタリア>トスカーナ(ブルネッロで名高いモンタルチーノ)
  • タイプ:赤(重厚&スパイス系)
  • 品種:サンジョヴェーゼ 70%、メルロ 20%、カベルネ・ソーヴィニヨン+プティ・ヴェルド 10%
  • 熟成:バリック熟成
  • 度数:14%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,300円
  • 購入価格:521円(クーポン値引き後)
  • 購入セット:初回限定50%オフ!おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット

レッチャイア ロッソ・ディ・トスカーナ

【シチュエーション:リファクタリング後の夜、試したいことがあった】

AIを活用したリファクタリング作業を仕上げた夜。黙々とコードに集中できる時間は好きだ。機能を壊さず、内側だけを整えていく——地味で手堅い仕事に妙な満足感がある。終えてようやく、ワインを開ける気持ちになった。

さて、実験もしよう。ピッコロとソプラノが割れてしまったため、新たに買ったGabriel Stand Art(万能グラス、6,600円)の初陣だ。せっかくなら手元の860ccブルゴーニュグラスと飲み比べてみることにした。

モンタルチーノが生んだIGT:レッチャイアとは

ブルネッロの聖地から生まれる一本

ファットリア・ラ・レッチャイアが構えるのは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの発祥地として名高いモンタルチーノのヴァッラフリコ地区。60ヘクタールの農場に15ヘクタールの畑を持ち、うち12ヘクタールがブルネッロの生産登録を受けている。世界的な名声を誇る産地のど真ん中にある造り手だ。

1983年創業、家族経営が続くワイナリー

1983年にマウロ・パチーニが設立。品質と手頃な価格を両立させる哲学のもと、モンタルチーノに根を下ろした。マウロ氏は2020年に他界し、現在は息子のリッカルドと娘のアレッサンドラが後を引き継いでいる。

IGTという自由のなかのブレンド

このロッソ・ディ・トスカーナはトスカーナIGT(Indicazione Geografica Tipica)。ブルネッロやロッソ・ディ・モンタルチーノのDOCG規定に縛られないぶん、サンジョヴェーゼにメルロやカベルネを自由に組み合わせられる。バリック熟成を経て、産地の個性をより身近な形で表現した一本だ。

テイスティング:カシス、タバコ、シナモンの重厚スパイス系

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:カシス、ブラックベリー、タバコ、シナモン、コーヒー(2日目は赤系果実も)
  • 渋み:3/5
  • 酸味:5/5
  • 甘味:3/5
  • アルコール感:5/5
  • 余韻:甘いシナモンとほろ苦いコーヒーが層を作りながらゆっくり消えていく。後口の品がいい
  • ボディ:フルボディ
  • テクスチャ:シルキーなタンニン、とろみのあるまろやかな口当たり
  • フレーバー:黒い果実の甘みを土台に、ほろ苦いコーヒーがふんわり重なる

感想:2日間・2グラスで追ったレッチャイア ロッソの素顔

レッチャイア ロッソ 2019の裏ラベルのクローズアップ。同じ濃い赤紫色のラベルに金色の文字で「LECCIAIA ROSSO TOSCANA / INDICAZIONE GEOGRAFICA TIPICA / 2019」とある。イタリア語で生産者情報(FATTORIA LA LECCIAIA DI PACINI MAURO E C.SS / LOC. VALLAFRICO - MONTALCINO - ITALIA)、日本語でインポーター(株式会社フィラディス・横浜)、内容量750ml、原産国イタリア、アルコール分14%volの表記。右下にフィラディスのQuality Wine認定バッジ。

開けたての印象

香りをとると、明確に黒い。カシス、ブラックベリー、タバコ——どっしりとした黒系果実の層に、シナモンの甘やかなスパイスが重なる。力強いのに、どこか優しい印象を持つ香りだ。

口に含むと、胃がカッとなるアルコールのパンチがある。だが後味がなめらかで、タンニンはシルキー。渋みはしっかりしているのに角がなく、とろみを帯びたテクスチャが口全体に広がる。黒い果実の甘みが底を支え、ほろ苦いコーヒーがふんわりと余韻に溶け込んでいく。甘い、苦い、スパイシー——それぞれが層を作りながらゆっくりと消えていく。後口の品がいい。

グラス実験:万能グラス vs 860ccブルゴーニュグラス

開けて30分ほど経ったところで、比較を始めた。

Gabriel Stand Art(510cc、6,600円)。底面が大きく膨らみ、シュッと絞まる形状。まず万能グラスで香りをとる。黒系と赤系の果実がふんわり——悪くない。

続いて木村グラス ツル28OG(860cc、約3,000円)のブルゴーニュグラス。

香りが違う。明確に違う。

万能グラスを3とするなら、ブルゴーニュグラスは5だ。よりがっしりした黒系果実と、ニッキやシナモンの甘やかさがくっきりと立ち上がってくる。大ぶりとはいえ絞まった形状のブルゴーニュグラスが、香りを集め、増幅している。6,600円の万能グラスが、約3,000円のブルゴーニュグラスに完敗した瞬間だった。

ブルゴーニュグラスは、大ぶりなボウルが液面の表面積を広げ、香り成分の揮発を促す構造だ。絞まったリム(飲み口)がその香りを一点に集め、鼻に届く量が増える。このワインのような多層的なアロマを持つ赤には、はっきりと効いた。

2日目

ブルゴーニュグラスの圧勝は変わらなかった。赤い果実のふんわりした綿飴みたいな香りが加わり、1日目より香りの層が豊かになっている。スワリングすると黒系果実が前に出てよりスパイシーに変化する。

ブルゴーニュグラスは液体が横に広がって舌全体を覆う構造だ。突出した酸の角が和らぎ、甘みを感じやすくなる——そういう仕組みだろうと思った。

ペアリング:和風ボロネーゼとスパイスカレーで試した2日間

白いテーブルの上に、白い丸皿に盛られた和風ボロネーゼ——スパゲッティに赤茶色の肉味噌ソースがたっぷりかかっている。左奥にレッチャイア ロッソのボトル(濃い赤紫色のラベルが正面を向く)、右奥には細い脚のワイングラスに深い赤色のワインが注がれている。手前右にフォーク。白い壁を背景にした、落ち着いた食卓。

1日目:和風ボロネーゼ

ごぼうと味噌を加えた手作りの和風ボロネーゼ。豚ひき肉たっぷりで、食感がしっかり残る仕上がりだ。

相性はいい。肉の旨みとタンニンが絡むことで互いが丸くなり、ワインのシナモンと黒い果実の香りがボロネーゼの深いコクと同調する。和のアレンジを加えたバージョンでも、このトスカーナ赤はよく機能した。

2日目:スパイスドライカレー+ガーリックバタートースト

クミン、シナモン、コリアンダー、チリペッパー、ガラムマサラ、にんにくで作ったスパイスドライカレー。

ワインのスパイシーな余韻とカレーのエキゾチックなスパイスが完全にシンクロした。同じ「スパイス」の言語を持つ者同士の組み合わせだ。ガーリックバタートーストの香ばしさも、余韻の甘いシナモンとよく合っていた。

評価

  • 総合評価:3.6
  • CP評価:3.5

レッチャイア ロッソ・ディ・トスカーナ

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。

バスティード ヴィオニエ レビュー:香水のような南ローヌ白の衝撃

バラ、ユリ、そして鼻をかすめる香水のような芳香——南ローヌのヴィオニエがここまで花開くとは、思っていなかった。スパイシーでミネラリー、それでいて繊細。3000円台でこの体験を届ける南ローヌの実力、あなどれない。

バスティード コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ヴィザン ブラン 1,2,3 フィーユ
Bastide Côtes du Rhône Villages Visan Blanc 1,2,3 Filles

バスティードのボトル裏ラベル。上部に「DOMAINE DE LA BASTIDE」「CÔTES DU RHÔNE VILLAGES VISAN」の表記と、AOCの正式名称。ヴィンテージ「2024」が大きく中央に記載。日本語のインポーター表記(フィラディス)、アルコール分14.5%、容量750ml、FR-BIO-01(ビオロジック認証)マーク入り。

  • 飲んだ日:2026/6/6
  • シチュエーション:波長の合う人と過ごした夜
  • ヴィンテージ:2024
  • 生産者:ドメーヌ・ド・ラ・バスティード(ヴァンサン・ボワイエ)
  • 生産地:フランス>ローヌ>コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ヴィザン(南ローヌ、ヴォクリューズ県の内陸部)
  • タイプ:白(個性派スパイシー系)
  • 品種:ヴィオニエ95%、ルーサンヌ5%
  • 熟成:ステンレスタンク発酵、オーク板で6ヶ月熟成
  • 度数:14.5%
  • インポーター:フィラディス
  • 購入店:フィラディスワインクラブ
  • 参考価格:3,300円
  • 購入セット:おうちごはんを、いい感じに彩る8本セット(初回限定50%オフ)

バスティード コート・デュ・ローヌ ブラン 1,2,3 フィーユ

【シチュエーション:充電された夜に開ける一本】

いい夜だった。人と会って、むしろエネルギーが湧いてくる——そういう珍しい体験をした夜。普段は人と話し続けると消耗して、ひとりの時間で回復するタイプだ。なのに今日の相手は違った。取り繕う必要をまったく感じないまま話し続けて、気づいたら充電されていた。波長が合う、という感覚はこういうことなのだと思う。

セットから次の一本として選んだのがこれだった。嬉しいことがあった夜のワインは、癒しとして開ける夜のそれとは質が違う。気分の増幅剤として飲む、最高の使い方だ。

愛用のソプラノシリーズグラスは割れちゃったので新しいものをポチっていて、まだ配送待ち。

だから、いま手持ちにある大ぶりブルゴーニュグラス(860cc)を代用。860ccグラスは大ぶりだが、香りの試験台としては面白い結果になった。

ワイン豆知識

3人の娘に捧げたキュヴェ名

「1,2,3 フィーユ(Filles)」はフランス語で「3人の娘たち」。ヴァンサン&ステファニー・ボワイエ夫妻の娘たちへのオマージュがそのままワイン名になっている。表ラベルには赤・オレンジ・ピンクの3色で描かれた少女たちのイラストが入っており、家族の温かみがラベルからも伝わる。

テンプル騎士団の地で復活した、ヴィザンの旗手

かつてテンプル騎士団がワインを造っていた由緒ある土地に、1989年ボワイエ家が再興したのがドメーヌ・ド・ラ・バスティードだ。創業者ベルナール・ボワイエは農業技術者の知見を活かし、ビオロジックを志向した自然な栽培と最新技術の両立を実現。現在は息子ヴァンサンが精神を受け継ぎ、ビオロジック認証のもと南ローヌ・ヴィザンの可能性を国際的に発信し続けている。

ヴィオニエらしくないヴィオニエ

ヴィオニエといえば、トロピカルで濃厚・まったりしたコクが持ち味というのが一般的なイメージだ。ところがこのワインは繊細で、白い花のように軽やかで、ピリッとしたミネラル感まで持ち合わせる。ステンレスタンク発酵でフレッシュさを保ちながら、オーク板との6ヶ月熟成で複雑さを加えるアプローチが、この方向性を生み出しているのだろう。同じ品種でここまで異なる顔が生まれるのが、ワインの醍醐味だ。なお、前ヴィンテージの2023年はアシェット・ワインガイド2025で★★(優秀)、ヴィニョロン・アンデパンダン・コンクールで金メダルを獲得している。

テイスティング

  • 香りの強さ:4/5
  • 香りの要素:バラ・ユリなどの白い花、パッションフルーツ・バナナのトロピカルフルーツ、青々したハーブ、香水のような芳香
  • 酸味:4/5
  • 甘味:3/5
  • アルコール感:2/5
  • 余韻:お花の香りが鼻からすっと抜け、膨らむミネラル感が長く続く
  • ボディ:ライト〜ミディアム(繊細)
  • テクスチャ:ピリッとしたスパイシーな刺激
  • フレーバー:白い花、ミネラル、ハーバル、ほのかなバナナ

感想

バスティード コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ヴィザン ブラン 1,2,3 フィーユのボトル正面。深みのある黄緑色のガラス瓶に、白地のシンプルなラベルが貼られている。ラベル中央には赤・オレンジ・ピンクの3色で描かれた小さな少女たちのイラストがあり、その下に「1 2 3 filles」の文字。さらに下に「VINCENT BOYER Vigneron」と記されている。

開けたての印象

860ccの大ぶりブルゴーニュグラスに注いでも、香りがまったく負けていない。グラスに近づけた瞬間、バラやユリの甘い花の香りが迫ってくる。そこにパッションフルーツやバナナのトロピカルなニュアンスが絡み、まるで香水売り場に迷い込んだかのような、強くて繊細な香りだ。

口に含むと、舌の上でビリビリとスパイシーな刺激が広がる。炭酸の泡感とは違う、ワインそのものが持つ固有の刺激感だ。シュール・リー的なピリピリ感、と言いたくなるほどの個性。それでいてキリッとした辛口で、余韻では旨味の塊のようなミネラルがゆっくりと膨らんでくる。お花の香りがふわっと鼻の奥から抜けていき、上品な後味が長く続く。

こんな香りのワインに出会ったのは、初めてだ。

時間経過・変化

2杯目を注ぐと、ハーバルな面が顔を出す。青々した植物の香り、そこに高貴な花の香りが重なる。生命力を感じるフレッシュさがある。冷えているほど酸味がキリッと引き締まり、余韻のミネラル感がいっそう際立つ。

フィラディスが扱うバスティードのワインは赤も白も好みに合っている。アウトレットやセットに同梱されていたら、ダブりを承知でリピートしたいと思えるほどだ。

2日目

グラスに注ぎすぎた。半分ほど入れてしまい、「しまった」と思ったが後の祭り。1日目に比べて香りの総量が落ちている。冷えすぎなのか、注ぎすぎなのか——おそらく両方だ。

それでも味は相変わらずうまい。このワインは味の骨格がしっかりしているので、香りが多少落ちても存在感を失わない。ビリビリ感とミネラルは健在だ。

ペアリング

白い皿に盛られた玉ねぎとソーセージの炒め物。玉ねぎはしんなりしたものと焦げ色のついたものが混在し、ソーセージがピンク色で数本見える。背景左にバスティードのボトル、右には大ぶりのワイングラスに注がれた深い黄金色のワインが映っている。

1日目:ガラムマサラ餃子

ポン酢・黒胡椒・ガラムマサラで食べる冷凍餃子と合わせた。ガラムマサラを加えると餃子が一気に華やかになり、ワインと方向性が近づく。ただ、このワインの繊細さに対して餃子のパンチは主張が強すぎた。ミネラルには旨味を引き立てる効果があり、餃子の肉旨味が底上げされて感じられる場面もあった。ただ、全体のバランスとしてはスパークリングやロゼに分がある。

2日目:玉ねぎとソーセージの炒め物

丸ごと1個分の玉ねぎをソーセージ6本と炒め、胡椒・チリペッパー・醤油で味付けした炒め物。シンプルだが、こちらのほうが断然相性が良かった。

玉ねぎはしんなりしたものもキャラメライズされたものも混在していて、甘みと焦げの香ばしさが両立している。ワインのフルーティーさとミネラル感が、その旨味をすっと引き上げてくれる。1日目の餃子と違い、お互いの主張が干渉せず自然に溶け合う感じがした。

評価

  • 総合評価:3.6
  • CP評価:3.5

バスティード コート・デュ・ローヌ ブラン 1,2,3 フィーユ

評価基準

■総合評価:

  • 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
  • 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
  • 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
  • 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
  • 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。

■コスパ評価:

  • 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
  • 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
  • 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
  • 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
  • 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。