立ちのぼるのは、青草を刻んだようなハーブの清涼感。スモークサーモン専用を名乗るこの白ワイン、貼られたラベルの下には金賞ボルドーの文字が透けて見える。ソムリエ監修ペアリングワインの実力やいかに。
スモークサーモンにぃーよ with レモン
Bordeaux Blanc 2023

- 飲んだ日:2026/7/8
- シチュエーション:集中力が試された平日に、急遽のご褒美
- ヴィンテージ:2023
- 生産者:非公表(瓶詰め元の表記から、ラドー村のデュクール家と推定)
- 生産地:フランス>ボルドー(ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた白の産地を含む銘醸地)
- タイプ:白(魅惑のフルーツ系)
- 品種:非公表(ソーヴィニヨン・ブラン主体と推定)
- 熟成:不明
- 度数:12.5%
- インポーター:株式会社都光
- 購入店:酒日向。(楽天市場)
- 参考価格:1,980円
- 購入価格:800円
- 購入セット:【田邉ソムリエ監修】家飲み革命!ペアリングワイン11本セット
【シチュエーション:集中力が試された平日に、急遽のご褒美】
昼過ぎ、ふと「今日は飲みたい」と思い立った。考えることが多く、仕事にもなかなか集中しきれない平日だった。気分転換にいいものを食べて飲もうと、ペアリングワインセットからスモークサーモン用の1本を冷蔵庫へ。スーパーに急ぎ、普段は買わないスモークサーモンを奮発した。5切れ600円が150円オフの450円。それを2パック。
ペアリングワインの良いところは、こういう「普段食べないものを買う」きっかけをくれることだと思う。などとたいそうな理由をつけて、さて、冷えたところで開けよう。
ちなみにこのボトル、冷やしている間に検めると、貼られたラベルの下から別の文字が透けて見える。正体探しは、栓を抜く前から始まっていた。答え合わせは豆知識で。
ワイン豆知識
正体は金賞ボルドー「シャトー・ドーレ」?(推定)
貼られたラベルの下から、元のラベルの「CHATEAU D'HAURETS」の文字がうっすら透けて見える。裏ラベルの瓶詰め表記は「Vd-Ladaux-33760」。33760はボルドーのラドー村の郵便番号で、ここを本拠とするのがデュクール家(Famille Ducourt)だ。同家のシャトー・ドーレの白はソーヴィニヨン・ブラン主体で、2023ヴィンテージはコンクール・ド・ボルドー金賞を獲得している。販売元は銘柄も品種も公表していないので、あくまで状況証拠からの推定。ただ、飲んで感じた「ソーヴィニヨン・ブランらしさ」とは、きれいに辻褄が合う。
田邉公一ソムリエ監修の「専用ワイン」
SNSでワインとフードのペアリングを発信し続ける田邉公一ソムリエが「スモークサーモン with レモンに合う」と太鼓判を押した1本。公式のコメントでは、柑橘フルーツとハーブの香り、ほのかなスモーキーさがサーモンの冷製オードブルと重なり、ケッパーを添えると相性がさらに高まるという。11本セットには「カルビにぃーよ」「野菜の天ぷらにぃーよ」など、料理名を冠した個性的な仲間が揃う。
ボルドーに白のイメージはないけれど
ボルドーといえば赤だが、ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンを使った辛口白「ボルドー・ブラン」も名産だ。特にガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれたアントル・ドゥー・メール(「2つの海の間」の意)は辛口白の一大産地として知られ、ラドー村もこのエリアに位置する。
テイスティング
- 香りの強さ:4/5
- 香りの要素:刻んだハーブ、青々しい植物、草原の青さ、湿った葉、ドロップ飴のような少し甘い清涼感
- 酸味:4/5
- 甘味:4/5
- アルコール感:2/5
- 余韻:すっきり
- ボディ:シュッと引き締まった中に、しっかりした膨らみ
- テクスチャ:キリッとしてキレがあり、ピリピリとした辛口の刺激
- フレーバー:ハーバル、柑橘、たっぷりの果実味
感想

開けたての印象
注いだ瞬間から、めっぽうハービー。少しベタつく甘さを含んだ、ドロップ飴のような清涼感のある香りだ。青々しい植物、湿った葉っぱのニュアンスもある。ボルドーの白でこの香りなら、頭に浮かぶのはソーヴィニヨン・ブラン。口に含むと、シュッとした酸味とハーバルな清涼感でキリッと引き締まっている。非常に飲みやすい。王道のソーヴィニヨン・ブランという感じがする。
2杯目、果実味に気づく
定価2,000円程度のワインで、大ぶりの万能グラスからこれだけ香りが立つなら上等だ。草原のような青々しさ、生命力を感じる香り。飲み進めると、シュッとしたボディの中にたっぷりとした果実味が含まれていることに気づく。少し粘性のある甘みがしっかりあって、全体はすっきりしているのに膨らみがある。ピリピリとした辛口の刺激もあり、これはポテンシャルが高い。王道のボルドー・ブラン。ザ・王道。安心感がある。
2日目、訂正します
2日目に改めて飲んで、初日の見立てを訂正。すっきりフルーティー系ではなく、魅惑のフルーツ系だ。コクがあって、果実感たっぷり。樽熟成していないタイプの、キレのある王道ボルドー・ブランで、後味はあくまですっきり。
思えばワイン初心者の頃、いちばん最初に飲んだのがワンコイン級のソーヴィニヨン・ブランだった。ハーブ感が浮いた嫌みのある味で、苦手意識を植え付けられた。だが、ボルドー・ブランは大抵おいしい。ボルドーの赤はピンキリで外すこともあるけれど、白は裏切らない——そう思わせてくれる1本だ。
ペアリング

1日目:スモークサーモンと、アボカドとトマトのサラダ
サラダの味付けは醤油・ポン酢・オリーブオイル・ガーリックパウダー。シンプルだがめっぽううまい組み合わせで、ワインの酸味とハーブ感が野菜の甘みに寄り添う。
本命のスモークサーモンは、レモンと胡椒で締めるとうまい。合わせてみると——無難に合う。ワインの清涼感が燻香と喧嘩せず、厚みのある果実味が脂を受け止める。ただ、マリアージュと呼びたくなる化学変化までは起きない。「無難」という言葉がいちばん正確だ。
むしろ発見だったのは、サーモンの下に敷かれた大葉。大葉は世界を救うと思っている。回転寿司でいちばん最初に縁側を頼むのも、大葉があるからだ。アボカドは熟しきっていない硬めの個体で、シャキシャキした食感がこれはこれで一興。
パンは、オーブントースターのないミニマリスト仕様につきフライパンで焼く。喋っていたら焦げ目がつきすぎたが、香ばしさとサーモンの相乗効果を狙うならむしろ好都合。噛むほどに小麦の甘みが染みるパンにサーモンを乗せれば、幸せである。
2日目:バタートーストと、鯖缶と玉ねぎのアヒージョ風
膨らみと甘みのあるワインだと分かったので、2日目は油と旨みの強い肴を選んだ。バタートーストをかじりながら、鯖缶と玉ねぎをオリーブオイルで和えたアヒージョ風を合わせる。
結論:サーモン「専用」ではなく万能選手
飲み終えての結論。このワインは、スモークサーモンが特別に合うというより、全般的に何にでも合う。そら豆や豆のサラダ、トマト、アボカド、フレッシュチーズ、幅広い和食まで、いろいろ受け止めてくれるはずだ。ハーバルで、すっきりしていて、果実感たっぷり。夏の食卓に欠かせない、親しみやすい万能選手である。
評価
- 総合評価:3
- CP評価:3.5
評価基準
■総合評価:
- 5(Outstanding / 最高):記憶に残る素晴らしいワイン。人に勧めたくなる。
- 4(Very Good / 非常に良い):バランスが良く、また飲みたい。特別な日に適している。
- 3(Good / 良い):堅実で信頼できる。無難で、日常的に楽しめる。
- 2(Fair / 普通):飲めるが積極的には選ばない。物足りなさや違和感があることも。
- 1(Poor / 悪い):問題がある。推奨できない。同じ価格なら別を選ぶ。
■コスパ評価:
- 5(Exceptional Value / 超絶価値):価格に対して素晴らしくクオリティが高い。見つけたら即買いレベル。
- 4(Great Value / 価格以上の価値):価格以上の価値。コスパが良いと自信を持って言える。
- 3(Fair Value / 価格相応):価格相応。可もなく不可もなく。
- 2(Below Average / 価格より低い価値):価格より低い価値。もう少し安ければ納得できる。
- 1(Poor Value / 高すぎる):価格に見合わない。明らかに割高。


















