ピノ・ノワールを知りたければニュージーランドはおすすめ。コノスルやイエローテイルの安ピノとはまるで次元が違う。
ダッシュウッド / マールボロ ピノ・ノワール
Dashwood Marlborough Pinot Noir
- ヴィンテージ:2020
- 生産者:ダッシュウッド
- 生産国:ニュージーランド>マールボロー
- タイプ:赤(華やか&赤ベリー系)
- 品種:ピノ・ノワール
- 度数:13.5%
- 熟成:フレンチオーク樽で11か月(新樽率30%)
- インポーター:ヴァイアンドフェロウズ
- 購入店:wine@
- 購入日:2024/09/24
- 参考価格:2300円くらい
ストーリー
wine@で購入したワイン。
wine@の特徴
wine@の特徴は、なんといっても取り扱いワイン全部が味わいのタイプで分類わけされていること。
ワインの味わいを、2軸でマッピングして、視覚的にわかりやすく整理している。
たとえば、白ワインならすっきり×フルーティーやコクあり&ややフルーティー。赤ワインなら軽快×フルーティー、芳醇×ドライといった具合である。
このブログでも、しれっと「赤ワイン(はなやか&赤ベリー系)」などとタイプを記載しているが、それはwine@の分類マップを参考に個人的に評価した結果だ。
白ワインは10分類、赤ワインは13、ロゼワインが4、スパークリングワインが8、デザートワインが3。合計38分類になっている。
分類を意識しながら飲み比べることで、自分の好みの傾向がデータをもとに把握できる。診断も用意されていて、質問に答えると、あなたの好みの傾向を提示してくれるし、恵比寿には実店舗があって、少量ずつ飲み比べることもできる。
ワインは多種多様でつかみにくく難しいが、これだけ定量的なら好みの傾向はつかめるはずだ。画期的で面白い。
分類ごとの特徴をつかむために銘柄指定で購入
いつもは鬼コスパセットなど、セット価格で安くなっているワインを買うのだが。今回は分類の特徴をつかむために、wine@のオンラインストアで、分類の異なるワインを合計10本、銘柄指定で単品購入。
いつもセットでお安く買っているので、1本あたり単価は高くなっているが、ワインの勉強としてはとても価値のある投資だ。ワインは酔うためではなく、視野を広げ未知の経験をするために飲むものなのだから。
wine@で購入するメリットは、あらかじめ分類がわかっていること。wine@スタッフがテイスティングして分類してくれていて、自分は答え合わせをしながら分類の特徴をつかめるというわけ。
加えて、wine@で、購入したワインの評価をしていけば、自分の好みの分類の精度が上がっていく。自分のワインライフを育成していくような感覚。RPGのよう。このサービス天才的だと思う。
というわけで、今回飲むのは、ダッシュウッド / マールボロ ピノ・ノワール 2020。分類は華やか&赤ベリー系。
ワインの特徴
インポーターのヴァイアンドフェロウズによると…
アワテレ・ヴァレーの良作なピノノワールを使用。低温で微醗酵することで色合いの抽出とフレーバーを補います。伝統的な剪定方法を採用。フレンチオークの新樽と古樽にて熟成。エレガントでありブラックチェリーのフレーバー、樽熟成のバランスが良く表現されている。11 ヶ月仏産樽にて熟成(新樽30%)。
2000円前半と、NZとワインとしてはやや手ごろな部類で、新樽30%という贅沢なつくり。
分類ははなやか&赤ベリー系。芳醇でフルーティー、少し甘味のあるタイプ。
wine@の分類解説によると、「よく熟したラズベリーやクランベリーを思わせる、凝縮した果実味が特長のフルーティな赤ワイン。渋みは穏やかな印象で、舌触りはなめらか。ワインによっては、フローラルの香りや、甘いスパイスのようなニュアンスが感じられることも。」とのこと。香りはラズベリー・クランベリー・スミテ・ナツメグなど。味ははなやかでフルーティー、凝縮感がありんばめらかとのこと。
そして、NZワインといえば、ニュージーランドワイン専門店「ボクモワイン」の、NZワインが好きすぎるソムリエによる解説が非常に参考になる。NZに特化しているだけあって、商品説明が秀逸で熱量を感じる。ワインを楽しむなら、熱量高い商品紹介は気分を高めるという意味で大事。
現地でも人気の銘柄「ダッシュウッド」。このワインはNZ最大の産地「マールボロ」の個性を反映したフルーティー系ピノ。快活でいきいきした味わいを実現しています。
ハンバーグやトマトソースのパスタなど、定番の洋食との相性はとても良いでしょう。BBQワインとしても大活躍間違いなし。香りの第一印象は、甘酸っぱいザクロのような香り。それから、樽熟成による、しっかりとした香ばしい香りも感じられます。
口に含むと、アメリカンチェリー、カシスなどのニュアンス、さらに少しほろ苦い香ばしさもあります。
全体としてはドライすぎず、フルーティーなワインという印象ですが、それだけではなく、スパイスやスモーキーさの奥行きもしっかりと感じられるワインです。余韻も長く、ひとくちの充実感がありますね。
マールボロのピノ・ノワールは、しっかりとしたフルーツの香りと、程よい厚み、ピノ・ノワールらしい繊細さ、これらの要素が同居しているイメージですが、このワインはその個性が十分に表現されていると思います。
価格帯的にはややお手頃ゾーンのワインですので、特別に凝った料理を並べて一緒にいただくというよりは、どちらかというと日常に寄り添うようなワインですね。
食事にも合わせやすく、飲み疲れしないので、家族団らんの食卓や、一週間仕事を頑張った自分へのご褒美など、気取らない日常のシーンで活躍してくれると思います。 ハンバーグやトマトソースのパスタなど、定番の洋食はもちろんのこと、お醤油とお砂糖+みりんを使った和食をもおすすめです。
これだけしっかりした、そしてわかりやすく丁寧な解説があるのってすごい。NZが好きすぎるだけなことはある。これを読めば、ワインを飲む前の儀式(自己洗脳して気分を高める)は完了。もう飲みたくて仕方ないw
生産地・生産者について
このワインはダッシュウッドがマールボローのピノ・ノワールでしたてたワイン。
マールボローは、NZ南東北部の、NZ最大のワイン生産地域。NZワインの8割を占める。なんといってもマールボローのソーヴィニヨン・ブランが有名。
NZのピノといえば、マールボローかセントラル・オタゴ、そしてマーティンボロー。
セントラル・オタゴは世界で最も南に位置するワイン生産地域。マールボローは温暖な気候なのに対して、セントラル・オタゴは冷涼な気候。
マーティンボローは北島の南端にある小さな地域。気候は温暖で完走しており、ピノ・ノワールの名城地。世界から高い評価をうけていて、ほとんどが家族経営の小規模生産ということまおって、NZの中では価格が高め。
さて、ダッシュウッドは、現地は非常にポピュラーなワイナリー。地元マールボロ地方への愛を胸に、ストゥ・マーフェル氏が手がけるサステイナブルなワイナリーだ。
ニュージーランド・マールボロ地方を拠点とするワイナリーブランドで、環境保全を重視したワイン造りを行っている。地元の自然を未来に残すため、ワインメーカーのストゥ・マーフェル氏が主導するこのブランドは、「サステイナブル・ワイングローイング・ニュージーランド(SWNZ)」の認証を取得。太陽光発電の利用やCO2削減、廃棄物再利用など、持続可能な生産を徹底。
SWNZは、環境・社会・経済の持続可能性を促進するニュージーランドの信頼性ある認証プログラムで、ダッシュウッドはその理念を体現するワインとして、地元愛と環境意識を世界に広めている。
味わいマップ
華やか&赤ベリー系
軽快 | 芳醇 | 力強い | 重厚&渋み | |
---|---|---|---|---|
フルーティ&甘み | 🍷🍷🍷 | |||
フルーティー | ||||
ややフルーティー | ||||
ドライ |
感想
NZのピノはじめてなので、テンションあがる。
ピノノワールの3大名城地はブルゴーニュ・オレゴン・ニュージーランド。NZといっても地域もタイプも幅広いけど、現地で広く流通している量産型ピノということで、NZのお手本立ち位置として期待しながら飲んでみる。
香りの第1印象は、意外と落ちついている。注いだ瞬間からわかりやすい樽香があり。甘さとさわやかさと香ばしさが一体化している。
この間の高畠クラシック メルロー&カベルネみたくダイレクトな赤ベリーを想像していたんだけど。実際は落ち着きのある無口なお姫様ポジション。
このワインは時間経過とともに花開いていく。大き目のグラスに注ぐのも重要。
大き目のグラス、ブルゴーニュグラスが大正解。香りがふわあっと優しく穏やかに広がって。まるでチェリーパイ。甘くチャーミングで、樽による香ばしさが加わり。
スワリングすると樽要素が強まって。どんどんはなやかに。
グラスによってこんなにも変わるんだなって。中程度のグラスに閉じ込めてたら、このワインのよさを半分も引き出せない。
さて、飲んでみると上質なイチゴミルク。甘酸っぱい。甘酸っぱくて、香ばしい。樽感がいい仕事してて、あつみを持たせている。芳醇。
ブルゴーニュグラスで飲むと、最初甘く香ばしい香りが鼻を抜け、親しみやすい甘さが駆け抜けて。甘さをやわらげる程度の程よい酸味が後を追いかけ。余韻に、甘酸っぱさをまとめ上げるほろ苦さが広がる。
非常にシルキーなタンニン。ひっかかりがない。ライトボディ。
新世界、アメリカのようなカジュアルさ・わかりやすさと、旧世界、フランスのような上品さを併せ持つワインだ。酸っぱすぎず、甘すぎず、親しみやすい。俗にいうバランスが良いっていうやつ。
飲んでいくうちに血液っぽいような鉄分要素や、白コショウのようなひりひりするスパイシー要素など、多彩な要素が出てくる。この価格にしては、複雑性があり、グラデーションを楽しめる良ワイン。
自分の好みど真ん中のワインだったこともあって。真においしいものは笑うんだなって。おいしくて楽しくて笑ってしまう。にやにやする。酔ってることもあって謎ににやにやして楽しくなるw
ワインの価格と品質について。2千円ワインが千円ワインの2倍おいしいかというとそうではなくて。感覚的には、千円ワインが1なら、2千円ワインは1.5、3千円ワインは2以上を期待したいところ。
このワインは、千円ワイン2本分の価格に対して、間違いなく2倍以上のおいしさだと断言できる。
コノスルビシクレタのピノやイエローテイルのピノなどの安ピノとはまるで別次元。2倍の価格だしても、お釣りが出るくらい満足できる。
コノスル 20バレルシリーズのピノ・ノワール(2500円)を飲んだことあるけど、ダッシュウッドのピノのほうが個人的には好み。タイプが違うな。コノスルはピノだけど力強くてザ・ニューワールドって感じで、NZピノは繊細でフルーティー。
ペアリング
まずは、和食。サツマイモと玉ねぎをミリン・砂糖・レモン汁で煮た。主菜は卵掛けご飯。
サツマイモの甘味とレモンの酸味は、甘酸っぱいワインの果実味を引き立てる。ワイン飲んだ後に卵掛けご飯がしみる。醤油とピノは合うから。
フルーティーで甘味があるので、素材の味を生かしたシンプルな和食に合うんだよね。お互いの良さを引き出しあう。
続いて、西友ブランド、「みなさまのお墨付き たっぷりガーリックのポモドーロ」。思いのほかがっつりガーリックがきいてるパンチのある味わい。刻んだトマトがごろごろ入ってる。
そういえばワインにはまってからパスタ食べる回数増えたなって。10倍くらいには増えた。パスタはいろいろ種類があるから探求心をくすぐられるし、ワインとも会うからね。
和食にも洋食にもオールマイティーに合わせられる万能さ。料理を選ばず、気軽にペアリング決められるのはうれしい。
料理と合わせなくても、単体dでも十分いける。リゼロ3rdシーズン、第57話を何度も身ながらちびちびと。57話、神会すぎて、何度も見た。何度見ても泣ける。アニメ市場一番の神会。
評価
S (Sublime)
- S (Sublime): 極上で感動的
- A (Amazing): 驚くほど素晴らしい
- B (Better): 期待を少し上回る良ワイン
- C (Consistent): 定価相応でニュートラル
- D (Disappointing): コストパフォーマンスが悪く期待外れ
- E (Degraded): 劣化ワイン
1杯目中程度のグラスで(木村硝子ソプラノ15oz)で飲んでた時は、「香りは思ったよりそこまででもないけど、味は親しみやすく上質だからBじゃば」って思ったんだけど。
ブルゴーニュグラス(木村硝子ツル24oz)にしたら評価は一転。香りが広がって感応的になったし、後になるほど味わいの複雑さが増して多彩に楽しめるしで。思わずにやにやが止まらない。心が従属間で満たされまくって。
こんなに愉快な気持ちにさせてくれる。心を豊かにさせてくれる。そして2000円前半というお手頃価格。間違いなくこれはSランクだ。