心を豊かにするワインの世界

ワインは情報量の高い飲み物。香り、味、ブドウ品種の特性、気候、文化、歴史、生産者の哲学…。どこまでも奥行きのある飲み物。だからこそ夢中になれる。心を豊かにする。ワインを理解するために、ワインを楽しむために、経験を積み重ねていく。

さわやかでびりびりするNZのソーヴィニヨン・ブラン

エム バイ シノブ マールボロ ソーヴィニヨン ブラン
M by Shinobu Sauvignon Blanc Marlborough

ストーリー

ニュージーランド(以下NZ)。個人的に非常に興味を持っている国。サザンクロスなどNZワイン専門のインポーターもあるくらいで、新世界の中でも注目。

NZワインの特徴

NZワインの特徴はフレッシュさとピュアな風味。ブラインドでNZを当てやすいくらい、NZらしさがあるらしいとか。

NZは温暖な海洋性気候。温暖な北島では黒ブドウ、冷涼な南東部では白ブドウやピノ・ノワールが栽培されている。

NZといえば、ソーヴィニヨン・ブランピノ・ノワールの2台品種が有名。かんきつとハーブ香がきりっとしたソーヴィニヨン・ブラン。豊かな果実味となめらかなタンニンのピノ・ノワール

ほかにもメルローシャルドネリースリングも栽培されている。

ピノ・ノワールについては、ブルゴーニュアメリカのオレゴンと並んで3大名城地のひとつ。ブルゴーニュはおそろしく高いし、オレゴンは円安の影響で高いし。NZは、手の届く価格で高品質。手の届くといっても1000円以下の安ワインはあまりなくて、1000円後半から2000円くらいから。

NZの栽培地域

NZのワインいろいろ飲み比べると楽しそう。セントラル・オタゴとマーティンボローのピノ・ノワールはどのような違いがあるのか。冷涼なマールボローのソーヴィニヨン・ブランと、温暖なマーティンボローのソーヴィニヨン・ブランはどういう違いがあるのかなど。

エム バイ シノブ マールボロ ソーヴィニヨン ブランの紹介

このワインは日本人醸造家の寺口信生氏が全面監修したニュージーランドソーヴィニヨン・ブラン

寺口氏は北海道でワイン造りを学び、余市ワインで7年間働いた後、ニュージーランドに渡る。日本のワイン黎明期に帰国するが、ワイン造りの夢を一度断念。その後、成城石井でバイヤーや輸入担当を務めるなどのキャリアを積み、再びニュージーランドに渡りワイナリー「MUTU」を設立。

しかし2023年、収穫予定日の僅か2週間前に大規模な水害で ワイナリーが大きなダメージを受け、一時的に生産を中断するが、寺口氏は諦めず再起を図る。このワインはその第一歩であり、日本とニュージーランドを繋ぐ寺口氏の思いがラベルに込められている。ラベルにはキウイと鶴が描かれている。

…こういうストーリーのあるワイン非常に楽しみ。

感想

ソーヴィニヨン・ブランって苦手な品種だったけど、NZの有名銘柄、シレーニのSBを飲んだことで克服&覚醒。好きな品種になった。

久しぶりにNZのSBが飲みたくて、朝から楽しみにしていた。

さわやか。すっとしたハーブ香。すだちやレモン。

この青々しいハーブ香のがくせになる。草原のように、生命の息吹を感じる。

しっかりした酸が舌をきゅっと引き締め、程よい辛口とフレッシュなアロマが広がる。

舌の上で転がすと、ドロップ飴のようなややべたつきのある、まとわりつくような、それでいてフレッシュなフルーツの甘味。

飲み進めるとハーブ香がより前面に出てきて、グレープフルーツの要素も感じ取れる。

そうこれ、これが飲みたかった。夏、とくにあじめっとした雨の日にはぴったり。湿り気を吹き飛ばしてすっきりさわやか。ちょうど台風きててじめじめmaxだったので。湿度97%って…。

このワイン、アフターが特徴的。白コショウのようなひりひりした感覚が舌に残る。二日目、三日目になるにつれ刺激が増し、びりびりくる。このスパイスのようなぴりっとした感覚、1000円ワインでは味わえない。

さわやかだけどびりびり。個性的なスパイシーなSB。面白い。

SBのお手本要素はしっかり踏襲しつつ、少し荒々しい白コショウスパイスがユニークなインパクトを与える。個人的にはザ・お手本のシレーニよりも好き。白コショウ風味が病みつきになる。

この間のイエローテイルのSBよりも、酸のきれがあり、ハーブ香がしっかり出ている。イエローテイルは甘味が強くて持たれ気味だったが、このワインは高い酸度と辛口によってバランスとれてる。やっぱりNZのSBはおいしい。

SBは小さめのグラスで飲むのが良いと思った。キムラグラス ソプラノ 12ozと8ozを飲み比べた時、8ozのほうが酸とハーブ香が際立ってて品種特性を寄り感じられた気がする。

ペアリング

初日は青の洞窟のジェノベーゼ。SBのハーブ香とジェノベーゼのバジル、方向性が同じなので違和感なくマッチ。ただ…ジェノベーゼ、期待してたんだけど味が薄くて、チーズの風味もほとんどなくて物足りない。数ある青の洞窟パスタソースの中で、最下位。

二日目は青の洞窟のエビとホタテのトマトクリーム。香ばしいエビの味噌の香りにひっぱられて食欲が刺激される。なめらかなクリームに、口いっぱいに広がる磯の香。これはおいしい。青の洞窟パスタソースの中でもトップクオリティ。残念ながらエビ・ホタテは細かく刻まれすぎていて触感は感じられないが…。

シーフードとSBは王道のペアリング。昨日のジェノベーゼよりもはるかにベストマッチ。シーフードとSBは相乗効果でおいしく感じるし、なめらかで濃厚なトマトソースの酸味とSBの酸味が重なって一体感が生まれる。

三日目は青の洞窟のボンゴレロッソ。パスタってトマトを使えばほぼトマトになるよね。アサリの触感はあれど、ほぼトマト色に染められてトマトパスタになってしまう。ボンレオレ・ビアンコのほうがアサリ感を感じられていいな。

それはさておき、ロッソ(赤)だからカルメの赤ワインと合わせたいって思いがちだけど、トマトのフレッシュな酸はSBと会わないわけがない。そしてとくに今回のSBは、白コショウのようなびりびりスパイシーが、パスタの後味を引き締めてくれる。

評価

B (Better)

  • S (Sublime): 極上で感動的
  • A (Amazing): 驚くほど素晴らしい
  • B (Better): 期待を少し上回る良ワイン
  • C (Consistent): 定価相応でニュートラ
  • D (Disappointing): コストパフォーマンスが悪く期待外れ
  • E (Degraded): 劣化ワイン

お手本のような2000円のNZSB。期待の範疇に収まるので安心して飲める。白コショウ風味がポイントたかく、その点でBランク。

パンチのある少し荒々しいスパイス感のおかげで、さわやかでありつつ飲みごたえがある。だからいがいと少量でも満足できて、3日にわけて飲み、3日ともまったく衰えることなく楽しめた。

naotakaさん、このチョイスはなかなかいい。鬼コスパセットに同梱してほしいな、2年後くらいに。


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