心を豊かにするワインの世界

ワインは情報量の高い飲み物。香り、味、ブドウ品種の特性、気候、文化、歴史、生産者の哲学…。どこまでも奥行きのある飲み物。だからこそ夢中になれる。心を豊かにする。ワインを理解するために、ワインを楽しむために、経験を積み重ねていく。

イエローテイルシリーズ内でトップクラス シラーズ

イエローテイルはブドウ品種ごとに10種類程度ラインナップがあるが、このシラーズ、シリーズの中で一番おいしいと感じた。頭一つとびぬけている印象。

イエローテイル シラーズの香り・味・ペアリングについて庶民支店で書いていく。

イエローテイル シラーズ
Yellow Tail Shiraz

ストーリー

イエローテイルは、オーストラリアのファミリーワイナリーであるカセラ・ワインズ(Casella Wines)が生産するブランド。カセラ・ワインズは、1957年にシチリア出身のカセラ家がオーストラリアに移住し、ワイナリーを設立したことから始まる。家族経営の小さなワイナリーとしてスタートし、彼らの情熱と努力で徐々に成長していった。

2001年、カジュアルに楽しめる手頃な価格のワインを求める消費者のニーズに応えるため、「イエローテイル」が誕生。ラベルに描かれたカンガルーは、オーストラリアの象徴とされ、親しみやすいイメージを表現している。

当時、ワインは高級で格式あるものと見なされがちだったが、イエローテイルはその固定概念を打ち破り、ワイン初心者や日常的に楽しむ層にも受け入れられた。手軽さと豊かな果実味が特徴で、世界中で愛されるブランドへと成長した。

イエローテイルは単一品種で作られるので、品種の特徴を知るという意味でも使い勝手がいい。赤はカベルネ・ソーヴィニヨンメルローピノ・ノワール、シラーズ。白はシャルドネソーヴィニヨン・ブランリースリング、もスカート(マスカット)。ロゼ泡としてピンクモスカート。とバラエティ豊か。

その中でもシラーズは、インポーターのサッポロビールによると次のように紹介されている。

果実が熟するまで待って収穫し豊かな味わいと香りを追求。香り高いベリーとバニラのアロマと、口の中に広がる熟した果実の甘みが、程よく抑えられたタンニンと見事なまでの調和を奏でます。
中華風の炒めものやタイ風のカレーなど、香辛料がピリッと聞いたエスニック料理と相性抜群。和食だったら、地鶏の炭火焼に山椒や柚子胡椒、なんて料理もオススメです。

飲み頃温度は8~14度と赤ワインにしてはかなり低め。冷蔵庫できんきんに冷やしたとしても、取り出して室温で30分くらいおけば適温になるはずだ。

イエローテイルシリーズは、ワイン飲みなれていない人にも受け入れやすいように、カジュアルで甘めに作られている印象。ワインの適温を知らない人は冷蔵庫で無造作に冷やし勝ちなので、そういう飲み方されてもおいしく味わえるように作っている、ような気がする。

今まで飲んだイエローテイルシリーズ:

味わいマップ

華やか&黒ベリー系

軽快 芳醇 力強い 重工&渋み
フルーティ&甘み 🍷🍷🍷
フルーティー
ややフルーティー
ドライ

感想

香りははなやか。熟した黒ベリーの果実がむんむんと立ち上る。若干控えめではあるけど、まあ千円以下のカジュアルワインなので。

これぞシラーズ。オーストラリアといったらこのわかりやすく濃密な香りのシラーズだよな。

シンプルに黒系果実が薫。複雑とは対極の、これ1本で勝負している感じ。

飲んでみると、これまたわかりやすいカジュアルな甘い果実味。

ファーストアタックはブルーベリージャムのような粘性のある甘味。加えてカカオ比率の高いダークチョコ。

後になるほどひりひりするコショウのようなスパイシーな辛口が主張してくる。そして、意外とずっしりくる力強いタンニン。

インパクトの強いぴりぴりするスパイス感によって、しっかりしたミディアムボディ。

アフターにダークチョコの苦みとペッパーがあって、爪痕を残す。この価格にしては最後まで楽しませてくれる。

イエローテイルの赤の中ではシラーズがおいしい。思わずハイペースで飲んでしまい、序盤で酔いが回ったw

香りはシンプルではなやか、味は輪郭がしっかりあって要素も多彩。千円以下で買える安赤の中では頭ひとつとびぬけてる印象。

この間飲んだフルボディのザ・ラッキー シラーズとは雰囲気がぜんぜん違うな。イエローテイルはやはり、圧倒的カジュアル。シンプルでわかりやすくとっつきやすい。

ただ、二日目になるとぎすぎすしてきて安赤っぽくなる。初日が100としたら、二日目は60くらい。冷たいインスタントコーヒーの残りのように、舌に残るとがった酸。

グラス実験

木村硝子のソプラノ15ozとあ、ツルのボルドーで比較。ツルのボルドーグラスはかなり大振り。

結論、ワインのポテンシャルが達してなくてツルのボルドーグラスだとぼやけてしまう。香りが拡散して、ソプラノグラスよりトーンダウン。

もっと香り高くて、フルボディのワインだったらポテンシャルを引き出せるんだろうなって。

安いワインでもグラスが良ければおいしく感じるわけじゃない。身の丈にあうグラスでってことかな。このシラーズはカジュアルすぎて大振りのボルドーグラスではだめだった。小さいグラスが最適解。

ペアリング

初日は、青の洞窟のアラビアータ。

アラビアータ、トマトの酸味がありつつけっこう辛口スパイシーで。同じくスパイス要素のあるシラーズと同調する。グラデーションが1ランクアップするようだ。

同じシラーズでも、フルボディのシラーズより、ミディアムボディで果実味豊かなシラーズのほうがアラビアータには合うだろう。フルーティーで甘味があったほうが、辛さをマイルドにして引き立てる。

二日目はカレー。玉ねぎをたっぷりトッピングしたビーフカレー

スパイシーなカレーはやはり、スパイス間のあるシラーズと会う。フルーティーで甘味のあるワインだから、カレーを打ち消さずに、カレーのコクを引き出してくれる。玉ねぎの甘味と相まって。

評価

B (Better)

  • S (Sublime): 極上で感動的
  • A (Amazing): 驚くほど素晴らしい
  • B (Better): 期待を少し上回る良ワイン
  • C (Consistent): 定価相応でニュートラ
  • D (Disappointing): コストパフォーマンスが悪く期待外れ
  • E (Degraded): 劣化ワイン

【色々な味を楽しめるセット 1本おまけつき】イエローテイル 6本赤白バラエティセット