心を豊かにするワインの世界

ワインは情報量の高い飲み物。香り、味、ブドウ品種の特性、気候、文化、歴史、生産者の哲学…。どこまでも奥行きのある飲み物。だからこそ夢中になれる。心を豊かにする。ワインを理解するために、ワインを楽しむために、経験を積み重ねていく。

ブドウの産地・環境

ブドウの分類

ワインは主にワイン用ブドウから作られる。

  • ワイン用ブドウ:皮があつく、糖度・酸味が高い。
  • 生食用ブドウ:皮が薄く、水分が多い。

植物学上の分類: ブドウはブドウ科(学名: Vitaceae)に属する。

  • ヴィティス・ラブルスカ:アメリカ原産。生食用。フォクシー・フレイバーという、グレープフルーツのような独特な香りを持つ。ナイアガラ、コンコードなど。
  • ヴィティス・ヴィニフェラ:ヨーロッパ原産。ワイン用ブドウ。カベルネ・ソーヴィニヨンシャルドネなど。世界には1万しゅる以上のヴィティス・ヴィニフェラのブドウが栽培されている。

ブドウが作られる地域

  • インベルト:ブドウの栽培に適していて、ワインが盛んに作られる地域のこと。北緯30~50度、南緯30~50度の2本。
  • 北限:ワインベルトの最北。フランスのシャンパーニュ地方やアルザス地方、ドイツなど。
  • 北のワインベルト:フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポルトガルアメリカ、カナダ、北アフリカ、日本、中国など。
  • 南のワインベルト:チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド南アフリカなど。
  • オールドワールド:古くからワインが作られたヨーロッパのさんち。オールドワールドのワインは、エレガントで繊細なタイプが多い。
  • ニューワールド:ヨーロッパ以外の産地。ニューワールドのワインは、濃厚でパワフルなタイプが多い。わかりやすい味ともいう。
  • 新緯度帯ワイン(New Latitude Wine):ワインベルトからはずれた新しいワイン地域。気候変動やワインの醸造技術の発達により、イギリスやスウェーデンなどのより寒い地域、韓国やタイなどのより暖かい地域でもワインが作られるようになった。
  • 緯度1度:111.111…km
  • 経度1度:場所によって異なる。
    • 計算式:111.111…*COS(緯度)
    • 地球の真ん中である赤道付近では緯度と同じ111.111…km(111.111*COS(0))。
    • 緯度90度は0km(111.111*COS(90))。
    • 東京(経度35度)は91km(111.111*COS(35))。

栽培に必要な環境

気温

  • 年間の平均気温
    • 一般的なブドウ栽培は10~20度
    • ワイン用ブドウ栽培は10~16度
  • 開花時は15~25度
  • 生育・成熟期は20~25度
  • 昼と夜の寒暖差がある

日照り

  • 発芽から収穫までの日照時間1000~1500時間
  • 南向きの畑が望ましい

水分

  • 年間降雨量は500~900mL
  • 生育期はたっぷり水分が必要
  • 果実の成熟期は湿気が少なく飴が降らないことが望ましい

土壌

  • 保水性・排水性の良い土壌が望ましい
  • 生育期には水分を供給し、成熟期には過度な水分供給を止める

栽培に適した気候

世界のワイン産地は次の4つの気候のどれかに当てはまる。

フランスは4つすべての気候があるユニークな国で、地域ごとにワインの種類や特色が異なる。

大陸性気候

  • 熱しやすく冷めやすい。1日の寒暖差が大きく。夏はあつく、冬は寒い。
  • 湿度が低くからっとしている。ドライ。
  • 秋は急激に冷えるため、晩熟の品種には向かない。
  • 主な産地

海洋性気候

  • 熱しにくく冷めにくい。海からの温暖な風で寒暖差が少ない。
  • 雨量が多く、湿度が高い。収穫が雨量によって左右される。
  • 秋が長く穏やかなため、晩熟な品種に向いている。
  • 主な産地:

地中海性気候

  • 熱しにくく冷めにくい。寒暖差が穏やかで安定している。
  • 雨量が少なく、からっとしている。ブドウの品質が安定している。
  • 主な産地:
    • フランス>プロヴァンス地方
    • スペイン南部
    • イタリア
    • カリフォルニア
    • オーストラリア南部

高山性気候

  • 標高が高く冷涼。
  • 1日の気温差が大きい。
  • 夏は短く、冬は長くて寒い。
  • 日照り時間は短いが、平地より紫外線を受けやすい。
  • 主な産地:フランス>ジュラ・サヴォワ地方